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建設業向けERPについて~メリットや導入事例など詳しく解説~
建設業界においては、自社開発の基幹システムを使用する企業が多い傾向にあります。これは、仕事内容が企業ごとに大きく異なるため、独自の機能等が必要だからだと考えられます。
しかし近年では、ERP(Enterprise Resource Planning)とよばれる製品のラインナップが増えてきており、導入企業も増加傾向にあるようです。
そこで今回は、このERPがどのようなもので、建設業にどんなメリットをもたらすのかについてご紹介します。
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1.建設業向けERPとは
そもそも「ERP」とは、Enterprise Resources Planningの頭文字を取ったもので、日本語では「経営資源計画」「企業資源計画」などと訳されます。
本来は、人・モノ・金・情報・時間・知的財産といった経営資源を総合的に管理して有効活用につなげることで効率化を図る概念のことですが、近年では、これを実現するためのソフトウェアを指してERPとよぶことも多いです。本コラムは、ソフトウェアを扱うものとします。
なお、ERPは生産管理手法であるMRP(Material Resource Planning)をベースとし、一般企業向けに展開したものです。経営効率化に有効であるとされ、経営管理の中核をなす基幹システムとして、さまざまな業界・業種に導入されています。
建設業界の企業においては特に、汎用的なERPよりも、「建設業会計」に準拠した、建設業界特有の会計処理や商習慣に対応しているERPの導入が必要です。というのも、一般的なERPは、年度や年単位で集計するケースが多いため、工事に1年以上かかることが少なくない建設業界の会計処理とは合わないためです。
また、建設業に特化したERPであれば、工事単位での採算データの集計や進捗状況なども管理できます。
2.建設業向けERPを導入するメリット
建設業における基幹業務(受注、工事外注、実行予算・工事原価管理、会計、人事管理・給与計算)にも活用できるため、導入によるメリットは非常に大きいといえるでしょう。
なお、見積積算と実行予算の連携や、工事実績を基にした官公庁向け提出書類作成といった工事情報に紐付けされた情報についても、ERPのカスタマイズ次第では実現可能です。
建設業向けERPを導入するメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。
部門をまたいでデータ連携できる(データの一元管理)
この「情報の一元化」こそがERPを活用する最大のメリットといえます。
ERPへデータを入力すれば、部門をまたいで同一のデータを参照できます。各部門で同じデータを何度も入力する必要がなく、その分、ミスの発生やそのリカバリーにかかる工数も低減できます。
また、データを一元管理することで、データに変更があった際の対応もスムーズです。以上のことから、業務効率の向上にもつながります。
経営資源をリアルタイムに把握できる
各所に点在する情報を一箇所に集結させて一元管理し、それを分析することで“見える化”を図ります。これまで確認に時間がかかっていた企業の状況をリアルタイムかつ正確に把握できるため、スピーディーな経営戦略や戦術決定に役立ちます。
具体的には、たとえば赤字プロジェクトの早期発見や月次・年次決算の早期化などが可能になります。
内部統制を強化できる
ERPを導入しておらず、各部門や担当者で取引情報などをファイルや紙で個々に管理していると、不正や法令違反などが起きる恐れがあります。
ERPによってデータを一元管理することで、内部統制を強化し、会社の資産を守ることができます。
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3.建設業向けERPを導入するデメリット
次に、ERPのデメリットについても見ていきましょう。
システムの導入後については、多くの場合多大なメリットが得られます。しかし、パッケージ選定は困難を極めるかもしれません。現在、海外製品まで含めるとERP製品は数十種類のパッケージがリリースされています。これらをひとつひとつレビューし、自社にマッチしたパッケージを探すのは難しいかもしれません。
なお、クラウド系のERPについてはセキュリティ面を危惧される方もいらっしゃいますが、この点は基本的に問題ではないでしょう。多くのベンダーは、セキュリティに多大なコストをかけ、安全性を担保しています。そのため、規模にもよりますがオンプレミスで立ち上げた自社セキュリティよりも高い堅牢性が期待できるケースも少なくありません。
4.建設業向けERPを導入する際のポイント
ほとんどのERPパッケージは、標準的な業務のほとんどをカバーしています。一方で、自社特有のニーズを満たす機能についてはカスタマイズや追加開発が前提となることを覚えておきましょう。
ただし、やみくもに追加開発を行うのは非経済的です。大切にすべきは、そのカスタマイズによってどのような効果が得られるのかを見極めること。そのためには、はじめにERPパッケージにどのような機能があるのかを把握し、何を加えるべきかを慎重に検討しましょう。
そのほか、ERP導入が事務方だけでなく現場にどのような影響を及ぼすかも考えておくべきです。操作には“慣れ”が必要ですが、それを踏まえても操作性が低下するということでは、現場からの不満が上がるのは目に見えています。
また、PCやタブレットなどによる入力支援機能を持つERPパッケージもありますが、それが果たして十分に活用できるかは仕事内容によって変わります。とくに建築現場の場合は、必ずしもそこにPCやタブレットがあるとは限りません。ここでもやはり、要不要を見極める必要があります。
5.建設業向けERPの導入事例
最後に、実際に建設業向けERPを導入して効果を上げた事例をご紹介いたします。
ランニングコストを大幅に削減!グループ会社のシステム統合も
亀井工業ホールディングス株式会社様では、ERP導入前はオフコン※を使用しており、年間60万円ほどの定額の保守費用のほか、法改正時のたびにスポット費用などで高額なランニング費用がかかっていたといいます。
さらに、前月の締めが終わらないと当月のデータを入力できないという、業務上の非効率性も抱えていました。
また、6社あるグループ会社がそれぞれ別のシステムを導入しており、これを統一したいという希望もありました。
そこで、グループ会社で共通の建設業向けERP「ガリバー・プロステージ」を導入したところ、全グループ会社で操作性が統一されただけでなく、サーバやソフト保守など、年間350万円のランニング費用削減に成功しました。
また、業務改善を実現でき、事務効率がアップしたことで、グループ全体の間接人員を半分に削減できたそうです。
その上、リアルタイム性の向上と自由度の高いデータ入出力により、経営層からのリクエストに正確なデータを迅速に提供可能となったり、取引先情報を始めとする各種マスタ情報の一元管理による重複管理の撤廃までも実現できたといいます。
※オフコン…オフィスコンピューター。主に中小企業等での事務処理を行うために設計された比較的小型のコンピューターのこと。
データ入力の二度手間や経営管理資料作成までのタイムラグを解消!
株式会社開進堂様では、ERP導入前、工務部、総務部で別々のソフトを利用しており、データが連携できていなかったといいます。つまり、それぞれでデータを入力しており、二度手間となっていました。当然ながら、手入力なのでミスも起こり得ますし、入力・チェックの手間も個々にかかっているため、業務効率が良いとはいえません。
また、当時のシステムでは、利用できる帳簿が限定されていたため、原価支払状況を各担当者で紙やパソコンで個別管理していたそうです。さらには、業務ソフトと給与ソフトが別で連携も取れていなかったため、労務費、代理人給与を原価に組み込むのが難しかったといいます。
そこで、建設業向けERPである「ガリバーNEXT」を導入したところ、データ入力の二度手間がなくなり、業務の省力化、効率化を図ることができたそうです。 予算管理、原価管理もリアルタイムに一元化でき、経営管理資料作成までのタイムラグも短縮できました。
まとめ
ERPは導入のハードルが若干高いものの、運用を続けて行くことで大きなメリットを享受できるソリューションです。特に、ほかの業界の一般的な経理とは異なる、建設業界独自の「建設業会計」に準拠したERPを導入することが、業務効率化のためにも経営戦略の立案や修正のためにも重要です。
日々の煩雑な作業で多忙を極める事務方や、自社の状況を的確に把握したいという建設業界の経営者の方は、ぜひ導入を検討してみてください。
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