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建設業の週休2日制の実現に向けた動きとは?

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建設業界には週休2日制が進んでいない現状があります。建設業界ならではのスケジュールや給与の問題も絡んでおり、解決が難しい状況です。この記事では建設業界の週休2日制実現に向けた取り組みや勤怠管理サービスの紹介をしています。

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1.建設業の週休2日制が実現出来ていない現状

2019年10月1日に、令和元年版過労死等防止対策白書が厚生労働省より公表されました。白書には過重労働や過労死を問題視した政府による、業種ごとの労働状況や労働災害をはじめとするトラブルがまとめられています。建設業に注目すると、「4週8休の確保、または週休2日の推進」を実施している企業は全体の38.4%です。

2017年12月に、一般社団法人である日本建設連合会が、行動計画の基本方針のひとつとして、「週休二日を2021年度末までに定着させる」方針を掲げていました。それから2年を経た調査において、週休2日制が定着している企業は約4割と、依然低いままです。

2020年9月14日の厚生労働省の発表では、建設業とその他産業の年間の総労働時間を比べると、建設業の労働時間はその他産業より約300時間(約2割)以上長いことがわかります。また、10年前との比較で、全産業の労働時間は約140時間減少しているものの、建設業は下がり幅が少ない(約47時間減少)点も目立っています。

しかし、「週休2日の実施を検討・予定している」と回答した企業は45.9%に上り、現段階で週休2日制が定着している企業と、今後実施予定の企業を合わせた場合、85.3%の企業が週休2日について前向きに検討していることがわかります。

現時点は週休2日制を実現している企業は少ないものの、問題は建設業界全体で共有され、改善に向け動いているといえるでしょう。

2.建設業が週休2日制に取り組む必要性

労働基準法で定められている法定休日は「週に1日以上」または「4週に4日以上」であるため、週休2日制は義務ではありません。なお、「週休2日制」とは、月に1回以上、週に2日の休みがあることをいい、毎週2日の休みがあることは「完全週休2日制」といいます。日本では1965年に当時の松下電器産業株式会社が初めて週休2日制を導入しました。その後、1980年代頃からほかの企業も導入し始め、1992年になると公立学校も導入しました。

しかし、建設業界では、多くの企業が週休2日制を採用しておらず、「4週4休」と「4週3休以下」が全体の半数近くを占めています(参考:建設業界の現状とこれまでの取組(国土交通省))。
建設業界でも、3Kのイメージを払拭して若手を惹きつけるために、週休2日制に取り組む必要があります。

建設業が週休2日制に取り組まなければならない大きな理由には、次のようなものがあります。

人手不足

日本における少子高齢化はすでに始まっており、建設業界に限らず、人手不足に悩まされています。
建設業界においては特に、長時間労働が問題になっており、従来の3Kのイメージが根強いことからも、人手不足は深刻です。
実際に、「建設業及び建設工事従事者の現状」からは建設業界における高齢化が、「建設労働者を取り巻く状況について(厚生労働省)」からは他業界に比べ建設業へ就職する新卒者の少なさや、3年以内の離職者の多さが浮き彫りになっています。
建設業界の慢性的な人手不足を解消するためには、週休2日制を導入して働きやすさをアピールする必要があるでしょう。

働き方改革

2019年4月1日から働き方改革関連法の施行が開始され、時間外労働の上限規制については、大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月から導入されました。建設事業や自動車運転業務、医師は、例外的に上限規制の適用が5年間、猶予されてきましたが、2024年にその期限を迎えます。いわゆる「2024年問題」です。

2024年4月からは、原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働ができなくなり、違反した場合には罰則が課せられる恐れがあります。

この上限を遵守するためにも、週休2日制を導入することで休日をしっかり確保する必要があるのです。

3.建設業の週休2日制が実現出来ていない理由

建設業ではなぜ週休2日制への移行が難しいのか、4つの理由を解説します。

工期設定の難しさ

週休2日制を導入すると、勤務日数の減少により、必然的に工期にしわ寄せがきます。週休2日を確保のしたうえで、工期設定を設定するには、発注者からの理解を得る必要もあるのです。

さらに、協力業者へ仕事を適当に割り振りするのも難しくなります。建設業では工期の流れの中で作業量に差があり、はじめから全工程を割り振りすることが出来ません。

例えば序盤は工期に余裕があり休みが多く、終盤は工期に余裕がなく作業が多い場合、業務量において不平等であるといえます。休みを増やすと、各業者への作業量の調整が困難になると予測出来ます。

さらに、天候により工程が圧迫されることも懸念点です。

給与形態の問題

建設業の給与形態の多くは、日当月給であるため、週休2日制となると収入の確保が難しくなります。そのため、週休2日制の導入とともに、日当制から月給制への見直しも必要です。

ただ、雇用形態の変更には時間がかかるので、変更までの間、労務単価の引き上げや、週休2日制の収入減を補填する計画があります。

経費の問題

週休2日制を採用すると必然的に工期が伸びます。そのため、人件費だけでなく、重機や建設機械などのリース料、部材の制作費や運搬費をはじめとする経費が増えるのは免れません。

人材不足

人材不足が問題である建設業界で週休2日制を導入すると、ひとつの現場にかかる日数が増え、工事の受注を受けたくても工期内での完成が困難で断念せざるをえない、といった状況に陥ってしまうでしょう。

AIによる人材不足解消は明るいニュースですが、価格面の問題から導入出来ない中小企業も数多くあります。

4.建設業の週休2日制を実現するためのポイント

では、建設業で週休2日制を実現するためには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか?
建設業の週休2日制が実現出来ていない理由」と重複する部分もありますが、主に以下の4点が挙げられます。

給与体系の見直し

日給制で働く労働者にとって、休日の増加はそのまま収入減に直結します。
それでは建設業の人手不足解消につながらないため、休日が増えても給与が減らないように給与体系を見直す必要があるでしょう。
具体的には、日給制を廃止して月給制に移行したり、報酬単価を引き上げたりなどの方法があります。

工期設定の適正化

週休2日制の導入によって工期に遅れが生じては問題です。
タイトなスケジュールのままで週休2日制を導入すれば、休日は確保できても残業が発生してしまいます。
あらかじめ、週休2日を前提とした上で天候不順などにも対応できる工期を設定し、顧客にも理解を得ることが大切です。

工期については、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
「工期短縮」で労働環境はどう変わる?メリットや実現する方法を解説

経費の増加分を請負代金に反映させる

週休2日制を導入した上で無理のない工期を設定すれば、従来よりもおのずと長期化します。その分、建設機械のリース代や人件費などは増加するでしょう。
これを、すべて自社で負担しては経営悪化にもつながりかねません。顧客の理解を得て請負代金として請求しましょう。

IT化・DX化の実施

単に労働時間だけを考えれば、週休2日制の導入によって工期は延びることになります。
しかし、最新のデジタルテクノロジーの力を活用すれば、延びた工期を短縮することも可能です。たとえば、AIを搭載した重機やドローンによる測量などを導入・活用することで、少ない作業員で建設業をこなすことができるようになります。

5.建設業の週休2日制の実現に向けた動き

建設業界の働き方改革を推進するため、国は技術者や技能労働者が交替しながら休日確保に取り組む「週休2日交代制モデル工事」を行っています。

このモデルでは、工事着手日から工事完成日に至る労働者の「4週8休」以上の休日確保だけでなく、発注者にも週休2日交代制への取り組みを要求し、相互に理解し合いながら労働状況を改善することが可能です。

国土交通省の主導で、すでに平成26年から週休2日制を確保したモデル工事が実施されており、大半の工事で週休2日での工事完了が達成出来ています。

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6.まとめ

現状、建設業界では週休2日制を導入している企業が多いとはいえないものの、問題そのものは認識されており、業界全体が改善に向けて動いています。国からの援助も手厚い今、週休2日制へのスムーズな移行を阻害する問題を明確にすることで、労働状況の改善は速やかに行われるでしょう。

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