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「工期短縮」で労働環境はどう変わる?メリットや実現する方法を解説

「工期短縮」で労働環境はどう変わる?メリットや実現する方法を解説
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建設業界で「工期短縮」と聞くと、元請けからの無茶な要求と捉えてしまう方も多いはずです。しかし、現在求められる工期短縮は労働環境改善につながり、業界における将来的な人材不足解消に貢献する取り組みでもあります。そこで今回は、建設業界における工期短縮と、それに伴う労働環境の変化について解説します。

1.作業を効率化して工期短縮することで労働環境が良くなる

工期の短縮に必要となる要素には何があるでしょうか? 一昔前まで、それは“人”でした。とにかく人海戦術を使い、量による力で無理やり工期を早めていた時代があります。しかし現代、建築業界は人材不足が大きな問題です。平成27年における新卒者の建築業への入職率はたったの5.5%。さらに、1年以内の離職率は平成26年の時点で20%にものぼります。このような状況では、「人で工期を短縮する」のは難しいと言えるでしょう。

残された道は、作業効率化のみです。たとえば建材のプレカットやユニット化、新工法の採用、多機能な機器導入は、今後必ず必要となる施策のひとつです。それに加え、現在国土交通省は「i-Construction」を立ち上げ、情報通信技術(ICT)を建築現場へと活用する取り組みを進めています。これはCIMやドローン、ICT建機の活用に加え、i-Construction推進コンソーシアムによる開発やその試験的導入などを通じ、建設業の生産性を向上させようというもの。2025年には、建設現場の生産性を2割向上しようという施策です。

3Kの脱却を目指す「i-Construction」

「i-Construction」発足の背景には、解消されない建設業界の低生産性が原因として横たわっています。日本の建築業界では、労働集約型の単品受注生産が常です。仕事内容が現場ごとに異なるため、作業の標準化やシステム化が難しく、単純業務をアウトソーシングするといった人件費削減策も取れない状況でした。加えて、水道・塗装・躯体などによる専門工事社が水平構造で分業を行い、かつそこには元・下・孫請けという垂直構造が存在します。こうした複雑な分業構造では、1社の努力で作業効率が劇的に改善されることはあり得ません。さらに言うと、建設業者の多くは年商数億円の中小企業および個人事業主です。こうした事業者にとって、作業効率化が実現できる最新技術の導入はハードルが高い状況にあるとも言えるでしょう。

建設業界が抱えるこれらの課題が解消されることは、いわゆる「3Kの脱却」につながると考えられています。「キツイ、汚い、危険」と呼ばれる労働環境が改善できれば、若者や女性といった人材の獲得に期待大。政府としては、3Kの意味を「給与、休暇、希望」にしていこうという方針です。

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2.工期短縮を行うメリット

工期短縮がもたらすのは労働環境改善だけではありません。ここでは、工期短縮を行うメリットをご紹介いたします。

コストの削減

経済面では、人件費や工事費・建機にかかる経費といったコストの削減につながるでしょう。施工者側にとっては価格面有利で事が運べるようになり、営業力強化にもつながります。

優秀な人材の確保

作業を効率化して工期短縮することで労働環境が良くなる」でお伝えしたように、効率を考えた設計は工事途中での変更も生じにくくなり、結果として労働環境にも良い影響を与えるでしょう。それがきちんと対外的にアピールできれば、優秀な人材も集まりやすくなります。

建築物の利用開始を早められる

工期短縮により完成施設の利用が早まるため、一般消費者にもメリットが生じます。

周辺住民への迷惑を低減できる

工事中は、車両が出入りしたり騒音が出たりと、近隣住民に少なからず迷惑をかけてしまいます。
工期を短縮できれば、周辺住民に不便をかける期間も短縮されます。

3.工期短縮を実現する方法

では、このようにメリットの多い工期短縮を実現するには、具体的に何をしたら良いのでしょうか?
大きく、以下の5点が挙げられます。

使用する作業員や機械を増やす

アナログな方法ではありますが、人海戦術で工期を短縮するという方法もあります。自社で人数を賄えない場合に下請けに出すことも含みます。
作業員や機械を増やして対応するため、コストがかかる点はデメリットです。

作業時間を延長する

作業員の労働時間を延長して工期を短縮する方法です。
長時間労働を強いることになるため、作業員に負担がかかる点がデメリットです。

制約条件を緩和する

安全上の理由や求められる仕様の関係などで変えられない部分はもちろんありますが、構法や施工方法などを変えることで、工期を短縮できる部分はないかどうか、見直してみましょう。

工程管理を見直す

業務を効率化して工期を短縮するために、まとめてできる作業はまとめて行う、平行して行える作業は平行するなど、工程管理を工夫するという手もあります。
全ての工程を俯瞰できるよう、工事管理システムなどで管理すると良いでしょう。

ITやシステムを取り入れる

前項でお伝えした工事管理システムをはじめ、遠隔操作可能な重機や、ドローンの導入などで、現場の作業を自動化したり省力化したりすれば、工期短縮がかないます。

さらに、事務作業についてもシステムを導入・活用することで、さまざまな管理をデジタル化でき、業務効率化につながります。

4.工期短縮の注意点

工期短縮を行うメリット」でご紹介したように、工期を短縮することで得られるメリットはたくさんありますが、注意点もあります。それが、次の2点です。

無茶な労働による工期短縮では労働環境が悪くなる

一方で、無理に工期を短縮しようとしたことが労働環境の悪化につながるケースもあるようです。たとえば、最新技術を投入したことで納期が10%短縮されたことを想定してみましょう。これは、その現場で10%のスケジュール的余裕が生まれたことを示します。スタッフとしても余裕を持って仕事に取り組めたため、労働環境改善にもつながったと考えられるでしょう。

しかし、発注社側の目線に立ってみると、今回の10%短縮は成果ではありません。「この業者に頼めば、この工期で仕上げられるのだ」という認識に変わってしまいます。工期短縮の要求に終わりはありません。結果として、さらなる厳しいスケジュールが次回から課せられる可能性もあるのです。

安易に工期を短縮すると、工期短縮が当たり前になってしまう

工期短縮は、発注者にとってもメリットの多いものであるため、さらなる工期短縮を求められるようになる恐れもあります。

あくまでも無理なく、メリットを享受できる工期短縮となるよう、無理な工期短縮の要求は断ることが大切です。
どこまで短縮するのか、あらかじめ線引きをしておく必要があるでしょう。

5.まとめ

生産性向上は建設業界に限らず全企業にとっての命題でもあります。しかし、建築業にとってその目的は単なる工期短縮だけでなく、労働環境改善にもかかわることを忘れてはなりません。将来的に、多くの優秀な人材が業界に参入すれば、それはすべての建設業者にとって大きなプラスです。こうした未来を目指すためにも、ぜひ工期短縮を含む生産性向上に取り組みましょう。


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