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建設業の新3Kを実現する適正な工期設定について解説
建設業の新しい指針として、新3Kが注目を集めています。自社における人材確保を安定化させるためには、この新3Kの実現が不可欠だと言えるでしょう。
今回は、新3Kの特徴を解説し、新3Kの実現に向けた「適切な工期設定」の概要や、取り組み内容をご紹介します。
1. 建設業の新3Kとは
建設業における新3Kとは、「給与が適正・休暇を取れる・希望が持てる」という3つの要素で構成される言葉です。そもそも従来の3Kは、「きつい・汚い・危険」の3つで構成され、マイナスイメージを持つ言葉として浸透していました。
しかし、建設業における人材不足の解消などに働きかけるため、平成27年に国土交通省と日本経団連が、従来の3Kに代わる「新3K」を提唱したのです。
例えば、新3Kの「給与が適正」という項目では、日建連による「労務費見積り尊重宣言」を踏まえ、下請け企業の見積りを尊重する企業を優位的に評価するという取り組みを開始しました。型枠工、鉄筋工など下請けとなる中小企業の「給与の底上げ」が狙いです。
また、「希望が持てる」という項目では、慢性的な人手不足を解消するために、労働環境が見直されています。例を挙げると、コンピューターによる自動制御が可能な「ICT建機」の普及が顕著です。ICT建機を導入すれば、経験が少ないオペレーターであっても施工現場で活躍できるため、若手人材が従事しやすいうえに、作業の効率化も見込めます。
2. 建設業の新3Kを実現する適正な工期設定とは
新3Kの「休暇を取れる」という項目を実現させるには、適正な工期設定が重要なポイントです。適正な工期設定を行うためには、以下の要素を踏まえておかなければなりません。
・施工実日数のほか、準備や後片付け期間、休日、天候等を考慮する
・受発注者間で工事スケジュールを共有する
・余裕期間制度を原則的に活用する
上記で挙げた「余裕期間制度」とは、一つの契約ごとに余裕期間(※)を設定して発注する制度。この制度では、工事開始日、もしくは工事完了期限日を発注者指定、または受注者指定のどちらか選択できるのも特徴です。
※工期の30%を超えず、かつ4ヵ月を超えない範囲内であること
このように適正な工期設定を行い、雇用人材の休暇を確保する目的の一つには、労働基準法の改正も関係しています。なぜなら、令和6年4月1日より「罰則付きの時間外労働規制」の適用が開始されるためです。従来の労働体制では、この時間外労働規制への対応が難しくなるため、適正な工期設定が促進されていると言えるでしょう。
3. 適正な工期設定の取り組み内容
国土交通省が公表したガイドラインでは、「適正な工期設定・施工時期等の平準化」に向けた取り組みについて触れています。この取り組みは、以下に挙げる条件などを適切に考慮したうえで、工期を設定するという内容です。
・週休2日の休日
・資機材調達などの準備期間、現場の後片付け時間
・降雨日、降雪・出水期などの作業不能日数
特に、公共工事に関しては、週休2日で実行可能な工事件数の拡大を指針として定めています。また、予定工期での完了が難しい場合は、受注者と発注者が協議したうえで、柔軟に工期変更することが必要です。
このような取り組みを積極的に実施することによって、適切な工期・施工時期等の平準化が可能となるでしょう。
4. まとめ
人手不足に陥っている建設業の改善に向けて、現在は新3Kの実現に向けた取り組みが促進されています。給与や休暇を適正化すれば、将来的な若手人材の確保にもつながる可能性があるでしょう。
労働環境を改善するためには、業務を効率化させることも重要です。建設業・工事業向けのERPソリューション『ガリバー匠』は、給与管理や受注原価管理、財務管理などの基幹業務を一元的に管理できます。各システムはリアルタイムで連動できるため、経営状態の即時把握も可能です。新3Kの実現を皮切りに、自社における業務を効率化させたいという方は、ぜひ『ガリバー匠』の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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