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建設業でDXが進まない理由と実現する方法について解説

建設業におけるDXとは、最新のデジタルテクノロジーを活用して、建設業の業務プロセスや顧客体験、従業員体験などを変革することです。
近年、大手や中小を問わず、建設業界全体でのDX化が急ピッチで進められています。しかし、建設業におけるDXが進まない理由として、人材不足などが課題となっているのも事実です。
今回は、建設業でDXが求められる背景やDXが進まない理由をご紹介し、DXを実現するための具体的な方法を解説します。
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建設業におけるDXとは?
建設業におけるDXとは、最新のデジタルテクノロジーを活用して、建設業の業務プロセスや顧客体験、従業員体験などを変革することをいいます。
建設業におけるDXの例として、たとえば次のようなものが挙げられます。
・建設現場の3Dモデルを作成し、施工時のミスを防止する
・ドローンを活用し、建設現場の測量や点検を効率化する
・AIを活用して、建設現場の安全性を向上させる
・クラウドを活用して、建設現場の図面やデータなどの管理・共有を効率化する
・3Dプリンターを活用して、従来は実現が難しかった建築物を安価に提供する
建設業界は、人手不足や生産性低下などの課題を抱えています。DXの取り組みによって、これらの課題を解決し、建設業界の持続的な成長を実現することが期待されています。
建設業でDXが求められる背景
建設業においてDXが急速に推進されている背景には、「2025年の崖」があります。これは、経済産業省が発表しているDXレポートで提唱されたリスクのこと。2025年以降に日本企業が従来のレガシーシステムから脱却できていなかった場合、経済損失が年間12兆円に上るという内容です。
そもそも企業がDXを推進する大きなメリットは、ITを強化し、同業他社との競争において優位性を確立することにあります。建設業も例外ではなく、これからの社会で盤石な企業経営を実現するためには、DXの推進が喫緊の課題です。
建設業でDXが進まない理由
建設業でDXが進まない理由として、主に以下3つの課題が挙げられます。
・人材が不足している
・デジタル技術に詳しくない人材が多い
・デジタル格差がある
総務省の報告書によると、DXが進まない理由として、人材不足を挙げた企業の割合は63.2%に上っています。大手建設業はもちろん、特に中小の建設業における人材不足は大きな課題です。
また、仮に労働力としての人材を確保できても、DXの要となるデジタル技術を適正に扱える人材を育成できていないというケースも少なくありません。自社におけるデジタル人材育成や、人的資本の見直しなどが迫られているのです。
さらに、建設業の業務では、紙や電話を使ったアナログ手法での情報伝達を主流としてきた事業者も多く、業界内でもデジタル格差が生まれています。しかし、DXにはレガシーシステムからの転換が不可欠であるため、自社に見合ったツールの選定など、改革に取り組む必要があるといえるでしょう。
※参考 : 総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負報告書」
建設業でDXに取り組むメリット
建設業界に属する企業がDXに取り組むことで、主に以下の4つのメリットが期待できます。
業務効率化・生産性向上
建設業でDXに取り組み、ドローンやロボットの活用で作業を効率化したり、クラウドやデータ活用の推進で業務効率化したりすることで、より戦略的で重要な業務に人的リソースを集約でき、生産性向上につながります。
コストの削減
前項のような業務効率化・生産性向上により、人件費や材料費など、さまざまなコストの削減につながります。
また、データ活用を推進することで、建設業全体の課題を分析し、解決策を導き出すことができます。これにより、業務の効率化や経営の改善につながり、コスト削減を実現できる可能性があります。
安全性の向上
現場の建設業務にドローンやロボットを活用することで、作業効率化ばかりでなく、安全性の向上を図ることができます。なお、ドローンは測量や点検、配送などの作業に、ロボットは土木工事や建築工事などの作業に活用できます。
新たな価値の創造
デジタル技術を活用した新たな商品やサービスの開発により、新たな価値創造を図ることができます。
たとえば、3DプリンターやAIなどのデジタル技術を活用することで、従来は実現が難しかったような複雑な形状の建築物や、自然災害に強い建築物などが創造できたり、AIやIoTを活用した品質管理システムの導入で品質の向上につながる情報を収集・分析し、品質向上につなげることができたりなど、顧客へ新たな価値を提供できるようになります。
建設業でDXを実現する方法
では、建設業でDXを実現するにはどのような方法を実践すれば良いのでしょうか。具体的な方法として、以下の点が挙げられます。
・自社の課題を洗い出す
・IT人材を採用する
・ITツールを導入する
・小さな業務からデジタル化を進める
まず取り組みたいのは、自社の課題を可視化させて、DXを進めるうえでの指標を決めることです。レガシーシステムとして改善すべきポイントや、更新すべき技術などを共有することで、自社全体で取り組めるようになります。
また、IT人材の積極的な採用やITツールの導入も大きなポイントです。特に、自社の規模感に応じた適正なITツールを導入することで、DX化の大きな前進が見込めるでしょう。一方、IT人材の採用を具体化させるには、自社の設備や給与に関する見直しも必要となるため、ある程度の準備期間は必要です。
なお、ITツールの導入とも共通しますが、小さな業務からデジタル化していくことも重要です。例えば、クラウド型のツールを導入して、労働時間や給与をリアルタイムで管理・共有することで、DXの推進だけでなく、省人化によるコスト削減にもつながるでしょう。
DX化を実現するためには、自社として取り組める方法を積極的に取り入れていくことが大切です。
まとめ
建設業におけるDXが進みにくい理由として、人材の不足やデジタル人材の育成不足が挙げられます。こうした点を回避しつつDXを進めるには、「小さな業務からのデジタル化」「ITツールの導入」などの方法を実践していかなければなりません。
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