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建設業の時間外労働に歯止めを!残業時間の超過で罰則あり?

建設業の時間外労働に歯止めを!残業時間の超過で罰則あり?
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働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が順次、導入されています。
ただ、建設業は自動車運転業務や医師とともに、例外的に上限規制の適用が5年間、猶予されています。
この期限が切れるのが2024年で、「建設業界の2024年問題」とも呼ばれています。

期限まで2年を切った今、改めて建設業の労働時間の上限規制について、確認しておきたいところです。

ここでは、建設業の労働時間の現状や上限規制の罰則、建設業が今できることなどをご紹介いたします。

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1.建設業の労働時間の上限規制の内容は?

建設業の労働時間の上限規制が施行されると、時間外労働の「法律による上限」が明確に定められます。以前から一定の目安となる上限は設けられていましたが、超えた場合は「行政指導」という形であり、法律上の上限ではありませんでした。

そもそも、建設業はその業態の特徴から、一般的な企業が求められる法定労働時間の「1日8時間」「週40時間」を超えて労働していることも少なくありませんでした。そのため、時間外労働ができるように、多くの建設業は従業員や労働組合と36協定を結んでいます。36協定を労働基準監督署に届け出ることにより、時間外労働を「月45時間」「年360時間」までと、ある程度は全体の労働時間が超えてもよいと認められるのです。

労働時間の原則

先ほどもお伝えした通り、法律で定められた労働時間の限度(法定労働時間)は、1日8時間まで・1週間で40時間までと定められています。
また、法定休日については、毎週少なくとも1回と定められています。

これらを超える労働時間、下回る休日となる場合は、いわゆる「36協定」の締結・届出が必要となります。

時間外労働の上限規制

冒頭でもお伝えしたように、建設業については時間外労働の上限規制に猶予期間が設けられていました。
これが期限を迎えた後は、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間になります。

ただし、「臨時的な特別の事情のとき」は、例外が認められています。

  • 臨時的な特別の事情のとき 年720時間以内
  • 臨時的な特別の事情のとき時間外と休日労働の合計が月100時間未満
  • 臨時的な特別の事情のとき時間外と休日労働の合計が、2~6ヶ月平均がいずれも1月あたり80時間以内
  • 臨時的な特別の事情のとき月45時間を超えるのは6ヶ月が限度

主な変更点

大きな変更点は、時間外労働時間の上限が明確に「法律」で定められたこと。今までは時間外労働時間については、法律上は目安となる上限もなかったものが、明確な時間の上限として定められたことです。

なお、災害時の復旧や復興の事業については、いまのところ複数月平均80時間以内、1ヶ月100時間未満の要件を適用しないものとされます。

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2.建設業の労働時間の上限規制、いつから始まる?

業種を問わず、労働時間の上限規制は、大企業は2019年4月から、中小企業は1年遅れて2020年4月1日から施行されています。しかし、建設業については5年間の猶予があり、本格的に適用されるのは2024年4月1日からです。

5年間の猶予が認められているのは建設業、自動車運転の業務、医師の3つの業種です。建設業においては、作業の進み具合や工事期間との調整など、法定労働時間内だけでは対応できないことも多く、時間外労働は避けられない背景があります。加えて、人手不足の影響もあり、週休2日への移行は決して簡単ではありません。

しかし、2024年4月1日以降は上限規制を超えると罰則が科されますので、5年間の猶予期間に時間外労働の超過がないような環境づくりに取り組むことが求められます。

3.建設業の労働時間の上限規制の罰則は?

建設業は5年間の猶予期間のあと、時間外労働時間の上限規制に違反した場合は、罰則が科されるおそれがあります。罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。36協定を結んでいても、上限規制を超えることはできないと理解しておくことが必要です。これまでは行政指導のみだったため、実情では時間外労働の上限に対してあまり意識していなかった企業も少なくなかったかもしれませんが、今後注意が促されます。

改正後の上限規制を1日単位の目安で表すと、原則となる月45時間の場合なら1日の残業時間でおよそ2時間、臨時的な特別な事情の場合では、6ヶ月間で1日の残業時間はおおよそ4時間(月80時間)になります。目安の残業時間を超えているなら、今後は労働時間の管理を徹底することが望ましいでしょう。

4.建設業の労働時間の現状

建設業における大きな課題の一つが「長時間労働」です。
そもそも、建設業が例外的に上限規制の適用を5年間猶予されたのも、長時間労働が常態化していたためです。現状では、急な対応は難しいだろうと判断された結果といえます。

厚生労働省が発表した「令和4年版過労死等防止対策白書」によれば、「建設業」の年間の労働時間は、全産業平均よりも長く、1,984時間となっています。建設業の推移としては減少傾向にあるものの、全産業でもっとも長くなっています※1。

一方、厚生労働省の令和元年度における調査結果では、回答のあった全国の建設企業に務める2,324名(各社1名)のうち、休日に対する希望は「月給制かつ完全週休2日制で、毎月安定した給与と休日を得たい」が52.0%と最も多くなっています※2。
ここから、建設企業に勤める従業員の理想と現実のギャップが伺えます。

建設業の週休二日制について詳しくは、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
建設業の週休2日制の実現に向けた動きとは?

※1「令和4年版過労死等防止対策白書 第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況」厚生労働省
※2「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年2月)」厚生労働省

5.建設業の時間外労働が長い原因

建設業の時間外労働が長い原因として、「人手不足」「無理な工期設定」「事務処理が多い」「勤怠管理が徹底されていない」などが挙げられます。

無理な工期設定

国土交通省は、建設業における長時間労働の常態化を、工期の適正化などを通じた「建設業の働き方改革」の推進で実現すべく、建設業法の改正に踏み切りました。改正建設業法は、すでに2020年10月に施行されています。

実際に、前出の「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年2月)」によると、建設企業の従業員が残業や休日出勤の主たる要因と思うものとして、「短い納期への対応(28.4%)」が「特定時期の業務の集中(39.5%)」に続くワースト2位となっています。

今後は、工期を見直して長期化することで、長時間労働が改善されていくでしょう。

人手不足

人手不足も建設業の時間外労働を増やす原因となっています。
国土交通省が発表した「建設業及び建設工事従事者の現状」によれば、建設業就業者数は平成9年度(1997年度)をピークに減少傾向にあり、さらに令和元年度(2019年度)に厚生労働省が全国の建設業1万5,000社を対象に行った調査結果によれば、直近3年の若年技能労働者の過不足感について、「不足」と回答した企業が57.9%と最も多く、「やや不足」と合わせると83.2%もの企業が不足感をもっていることがわかっています。

また、前出の「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年2月)」によれば、建設企業の従業員が残業や休日出勤の主たる要因と思うものとして、「特定時期の業務の集中(39.5%)」「短い納期への対応(28.4%)」に続き、「一人当たりの業務量の多さ(8.5%)」がワースト3位でした。

事務処理業務の負担が大きい

建設業というと、現場で働く作業員や現場監督にスポットが当たりがちですが、これを支える事務方の存在があります。

特に建設業の事務業務は、IT化が遅れているためアナログ作業が多く効率が悪かったり、一般的な簿記とは勘定科目が異なる独特の経理事務をこなす必要があったりと、負担が大きいものがあります。
また、「人手不足」でお伝えしたように、事務を担当する人手も不足しているため、一人で膨大な事務業務をこなさなければならないケースも少なくありません。

こうした事務方の業務の時間外労働も長くなる傾向があります。

勤怠管理が徹底されていない

建設業では、IT化が進んでいない企業が多く、勤怠管理もタイムカードや日報で行われているところがあります。
こうした管理方法は手軽ではありますが、反面、虚偽の申告や、記入のミスや勘違いがあっても、その記録に正当性があるかどうかを客観的に判断しづらく、正確性に欠けるというデメリットがあります。

勤怠管理が徹底されていないことで、記録上は定時で業務を終わらせたことにして、実際は残業していたり、タイムカードを切らないまま休日出勤して働いたりする不正を助長してしまいます。

6.建設業が今できること

建設業は上限規制が適用されるまで、5年間の猶予があります。この期間を利用して早急に時間外労働の改善に取り組まなければなりません。改善のための環境整備としては、次のような内容が考えられます。

・勤怠管理の徹底
時間外労働時間を管理するため、社員の勤怠管理をしっかりと把握することが大切です。職種によって残業時間が異なるので、どの職種で残業時間が増えているのかきちんと把握しましょう。また、残業時間が改善できるように次のステップに踏み込んで解決策をみつけることが大切です。社員の規模にもよりますが、紙ベースの管理ではなくデジタルで情報として素早く管理できるシステムを導入することも有効な手段と言えるでしょう。もし36協定を締結しておらず、従業員が時間外労働をしているなら、早急に36協定を結び、労働基準監督署に届け出てください。

・業務の効率化を図る
時間外労働が生まれる要因を探していると、業務の効率化が図れていないことが原因となっていることがあります。無駄な作業が含まれてる、確認に時間がかかっている、手作業でチェックいるなど、業務上効率化できるものは工夫して業務の改善を行いましょう。

改善のためには社員の一時的な労働の協力が必要な場合もあります。慣例に頼った業務について変化を望まない、または否定的な人もいるかもしれませんが、会社全体が良い方向に向かうために必要なので、社員意識を前向きに変える試みも必要です。

・業務を可視化する
業務が属人化すると、担当者が適時に処理しない場合には仕事が停滞してしまう傾向があります。結果的に特定の箇所に業務の負荷がかかり、一部の社員の時間外労働が増えてしまう可能性もあるのです。しかも業務が属人化してしまうと業務の流れが見えにくく、スムーズに進んでいるかどうかもわからないケースがあり得ます。

業務を可視化して、誰が何をしているか、どの業務がどこまで進んでいるかなどについて、誰でも把握しやすい環境を整えれば、停滞している部分のフォローも行いやすくなります。建設業は、流れ作業の部分と、試行錯誤しながら作業する部分とが混在する業態と言えるかもしれません。スムーズに進んでいるときは良いですが、停滞しているときにも原因を把握することにより、個々のスケジュール管理もしやすくなります。業務を可視化するために、業務を一元化できるシステムの導入もおすすめです。

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7.【まとめ】

2024年まで猶予が設けられていた労働時間の上限規制ですが、その期限はもうすぐそこまで迫っています。
現状では36協定で規制に収まっている建設企業であっても、2024年4月から適用される上限規制は超えてしまうというところもあるでしょう。今のうちに、対策を取る必要があります。

その際は、上でご紹介した「建設業の時間外労働が長い原因」などをご参考に、施策を検討してみてください。

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