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仕事を通して皆が幸せになる、人が集まる組織作りの進め方

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仕事を通して皆が幸せになる、人が集まる組織作りの進め方

働き方改革のプログラムが順次スタートする中、建設業界における人材不足に対する対応が徐々に進みつつあります。国土交通省も様々な施策を実施し建設業就業者を増やそうと力を入れています。働き方改革を中心とした取り組みは入職者を増やすことに重きを置いたものです。しかし入職者を定着させるための取り組みは個々の企業に委ねられています。就業者にとって魅力あふれる企業になるためのポイントを解説していきます。

1.「人が集まる」をキチンと考える

人生の中で与えられた時間の多くを占める仕事。
その仕事が充実しているかどうかが、人生の豊かさに大きく影響することは説明するまでもありません。人は皆幸せになりたいと考えています。その幸せとは人間の欲求を満たすことに密接に関係しています。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求が5段階に分かれると提唱しました。生理欲求は動物的な欲求で最も根本的なものです。その上には「安全に暮らしたい」という欲求があります。仕事をする第一の目的である収入を得ることは自分の生活を守るためにあります。
社会欲求は集団に所属したいというもの。集団の例として家族や企業が当てはまります。「自分が務める会社には仲間がいる」と感じていれば社会欲求が満たされていることになります。形式的な雇用契約ではなく心の通じた同僚、上司、部下、後輩などです。この段階の欲求から「人が集まる」ことに関係してきます。そして次の承認欲求は「仲間から認められたい」という欲求です。その上には自己欲求があります。これら上位2つの欲求に関するキーワードは成長・達成・感謝です。成長し、達成感を味わい、仲間から「やったな!おつかれさま!ありがとう!」と声をかけられる。こうした機会があふれる企業こそが「人が集まる」企業と言えます。


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2. 10年後の組織の理想像は?

皆さんの会社には経営計画があるでしょうか。ある程度以上の規模の会社には高い割合で経営計画があります。完工高や経常利益といった数値目標が設定され、個人個人の目標設定に落とし込まれ日々その目標達成のために忙しく遅くまで残業したり休日出勤を強いられたり。先に記した「人が集まる」企業とあまりに大きなギャップを感じます。どうしてなのでしょうか。

その理由の1つは目標の設定の仕方です。「今期完工高100億突破したから来期は110億を目指そう!」といった考え方に基づいて目標を設定する企業がほとんどです。数値ばかりの目標では少しもワクワクしない。何も楽しくない。「仕事は厳しいもの。ワクワクや楽しさは必要ない!」という声も聞こえてきそうですが、ワクワクや楽しさがなくて、どうやって私たちは幸せになれるのでしょうか。

目標という言葉がいけないのかもしれません。夢や理想像という言葉を使ってみてはいかがでしょうか。

「10年後の目標」ではなく「10年後の理想像」です。ビジョンと呼ばれることもあります。

良い会社とは端的には「顧客から厚い信頼が寄せられ、その信頼に応えようと社員が高い士気のもと応え常にやりがいや誇りを感じている企業」と言うことができます。厚い信頼、高い士気、やりがいや誇り、これらを高めていった先にある10年後の理想像です。顧客の視点と社員の視点の両方からアプローチする必要があるでしょう。

3.組織力を高めるために必要な“底力”

理想像へのアプローチは一人一人の高いモチベーション以外に組織力も大切になってきます。組織力といっても職種別組織や事業部制、委員会制度など方法論のことを説明したいのではありません。組織の在り方は多岐にわたります。しかし組織の目的は「すべてのメンバーの能力を最大限に発揮できる状態をつくる」ことにあります。私は組織力を高める要素の根本に“底力”があると考えています。その底力とは「仲間意識」のことです。私たちは学生時代の仲間に会うと、どんなに久しぶりであってもすぐに意気投合し昔のように接することができます。部活動などで一緒に汗を流し高い目標に向かってがんばった仲間であればその傾向はより顕著に現れます。強烈な共通体験があるからです。これは組織力の底力を構成する要素の1つです。会社の同僚でも難しい現場で一緒にがんばった過去があれば同じような仲間意識を持つことができます。しかし新入社員など新しく同僚となった人たちとはどう底力を育めばいいのでしょうか。底力の要素は共通体験だけではありません。前述の理想像やビジョンを共有することで「共通の目標」に向かってがんばることもできます。そのためにもビジョンの策定が不可欠です。ワクワクするビジョン。楽しそうな未来です。

4.社員満足度と顧客満足度

ビジョンには顧客の視点と社員の視点が必要であることはすでに説明しました。しかし多くの企業は顧客の視点に傾きすぎています。「顧客満足を第1に考え・・・」といったスローガンをよく見かけます。顧客の満足度を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。社会が複雑化する中で顧客の要求も多岐にわたります。画一的な対応では高い満足を得ることはできないでしょう。異なる顧客のそれぞれの要求に丁寧に応えるためには、顧客に喜ばれることに生きがいや仕事のやりがいを感じる士気の高い社員が必要です。自らの仕事に対する満足度の高い人にしか高いレベルでの顧客満足度は得られないのです。最近は社員満足度(ES)に着目しアンケートなどで満足度調査に取り組む企業も増えてきました。しかし社員満足度はもっと単純な指標で測ることができます。それは定着率や離職率です。定着率は一定期間に採用した人数と現在残っている人数の割合です。離職率は1年間の退職者数を社員数で除した割合です。高い定着率、ゼロに近い離職率、まずはここ数年間の両数値を計算してみてください。そして5年後、10年後のそれぞれの目標数値を定めてください。その目標を達成するための課題に取り組むことが「人が集まる組織づくり」に直結していきます。

5.まとめ

いかがでしょうか。すべての社員が高いモチベーションを維持しながら自ら成長し、顧客の要求を満たすことに喜びを感じ達成感を日々感じることができる。それが「人が集まる組織」の究極の姿です。その第一歩は誰もがワクワクする未来の理想像を描くことです。そろそろ味気ない数値目標だけの計画から脱し社員とともに夢を描くことを始めてみませんか?

【執筆者】

0002_.jpg 株式会社パール 

代表取締役 安田 勝也 氏

 ・中小企業診断士
 ・行政書士
 ・システムアナリスト
 ・建設業経理士1級
 ・国土交通省 (前)建設業経営支援アドバイザー
 ・和歌山大学 非常勤講師

株式会社パールホームページ
http://pearl2019.com


 
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