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残業時間削減のための社内ルールの設定について(no.4)
前回の第三回コラム「2024年4月の残業上限規制の罰則について」では、処罰を受けることとなってしまった場合についての注意点をまとめました。
今回のコラムでは、残業時間削減のための社内ルールの設定について細かく記載していきます。
建設業を除く産業界では、2019年(中小企業は2020年)から残業上限規制が施行されており、多くの企業が対応に迫られました。
業務効率化を目指しITツール導入や業務プロセスの見直しを行うといった労働時間短縮の取り組みはもちろんのこと、残業時間削減のための社内ルールの設定なども行われました。
そのような取り組みの一部を紹介します。
1.ノー残業デーの設定
特定の日に全員が定時退社する「ノー残業デー」を設け徹底することで、残業時間の削減を行いました。
ノー残業デーでは業務量は減らないと思われがちですが、退社しなければならないと決められていると、
生産性が向上し、残業の削減に繋がったケースもあるようです。
また、安定したプライベート時間が確保できることは、社員のワークライフバランス向上にも繋がると思います。
さらには定時後に社内の電気を消灯したり、パソコンを自動でシャットダウンするシステム導入するなど、強力に推進する企業もありました。
2.有給取得奨励日の設定
有給休暇の取得を奨励する企業も多いですが、具体的な有給取得奨励日を設け、社員に積極的に休暇を取得するよう促すことで、有給取得が進み残業時間が減少した事例もあるようです。
3.残業時間の見える化
残業時間を可視化することで、管理者や社員自身の意識を高め、残業時間の削減につながったと事例もあります。現在の残業時間と上限を明確にすることで、適切な管理が行われ、残業上限の超過防止に向けた全社的な取り組みが行われるきっかけになったようです。
4.残業時間の長期的マネジメント
規制前時点で残業時間が非常に多かった企業では、半年や1年を視野に入れたスケジュール管理を行い、過度な業務負担を防ぐ取り組みを行ったところもあったようです。
残業時間を見越した大枠の労働時間で業務割当を行うことで、残業でカバーするという考えを排除した業務量や調整を行う取り組みを行ったようです。
5.有給休暇の取得奨励
休日出勤した場合、代休を取ると実際の収入が減るため、社員の中には休める場合であっても代休を敬遠する傾向があります。
そこで、休日出勤した際に休みを取ることを推奨するとともに、代休ではなく有給休暇として取得しても構わないとする社内ルールを設定することで、労働時間の削減に成功したケースもあるようです。
まとめ
残業上限規制対応にむけて
「残業時間が長い」「帰宅時間が遅い」「有給休暇の取得が困難」といった労働時間削減に関する課題は、これまでの働き方が根付いているということだと思います。
労働時間の削減に向けて、上記のような取り組みは必要不可欠だと思います。
しかしながら、働き方に対する「意識」を変える必要があるので、成功にはトップダウンによる指示を始点に、現場での取り組みとその後押しを行う活動が欠かせないと思います。
労働状況や組織風土は会社ごとに異なるため、どの取り組みが効果を発揮し、実行に移せるかは企業によります。
自社に最適な取り組みを見つけ、確実に残業上限規制に対応していきましょう。
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