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建設業がIT化をするべき理由と導入するメリットについて解説

建設業がIT化をするべき理由と導入するメリットについて解説
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建設業には、人材不足や労働環境の是正など、数多くの課題が横たわっています。こうした状況を打開しようと、近年、多くの企業がIT技術の活用に乗り出しています。

そこで今回は、建設業でIT技術の導入が進む理由について、メリットという観点から考えてみましょう。

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建設業のIT化とは

建設業に限らず、業界を問わずに広くIT化が叫ばれて久しいですが、特に建設業界においてIT化に期待されているのは、3Kイメージ払拭や人手不足の解消、現場の従業員の少子高齢化への対策手段となることです。

実際に、建設業界におけるIT化は進んでおり、総務省が令和3年6月に発表した「令和2年通信利用動向調査の結果(概要)」によれば、令和2年の建設業界におけるクラウドの利用率は76.0%で、前年(令和1年)の71.7に比べて4.3%増加しています。

建設業界でのIT化の具体例としては、図面や台帳、写真などの資料を電子化し、パソコンやタブレットで閲覧・編集・共有できるようにしたり、建設機械や測量機器にセンサーやカメラを取り付け、遠隔操作や自動制御を可能にしたりすることなどが挙げられます。

IT化とICT化との違い

なお、IT化ではなくICT化という言葉が使われることもあります。
ITが「Information Technology(情報技術)」の略称であるのに対し、ICTとは「Information and Communications Technology(情報通信技術)」の頭文字を取ったもので、ITよりも広い概念で、電話網やSNSなども含まれます。IT化に加えて、コミュニケーションや情報伝達の技術を活用することと考えるとわかりやすいでしょう。

建設業界でのICT化の具体例としては、たとえば、Web会議やチャットツールなどを使って、現場と事務所や発注者との連絡や打ち合わせを行い、移動の時間や費用を削減することが挙げられます。
また、ドローンによる測量や3Dプリンターによる建築、VRによる遠隔での作業指示、AIやIoTなどの技術を使った現場のデータの収集・分析、最適な施工計画や管理方法などの提案や問題・リスクの予測もICT化の例です。

建設業がIT化するべき理由

上でも少し触れましたが、建設業のIT化・ICT化が進められている背景には、次のような課題があり、これを解決するためです。

3Kイメージの払拭

建設業界の労働環境には、長らく「きつい・きけん・きたない」という3つのマイナスなキーワードが付いて回りました。いわゆる「3K」です。こうした3Kのイメージを払拭できなければ、若い働き手を確保することが困難になります。

実際に、国土交通省が発表した「建設業及び建設工事従事者の現状」によれば、平成28年(2016年)3月卒業の新卒が建設業へ就職する割合は全業界の5.8%と低く、3年以内の離職者については平成23年(年)3月卒業の新卒で、製造業と比べて高卒で約1.8倍、大卒で約1.6倍高くなっています。

こうした建設業界に対するマイナスイメージを払拭するため、平成27年(2015年)に当時の国交省大臣と経済産業省は「新3K(給料が良い、休日が取れる、希望が持てる)」を提唱しました。週休2日制や賃金アップなどが官民一体で推進されています。近年では、新3Kに「かっこいい(きれい)」を加えた「新4K」という考え方も出てきています。

建設業界にとって、3Kイメージの払拭は急務といえるでしょう。

現場の従業員の高齢化への対応

新卒者の建設業界への流入が少なく離職率が高いことから、建設業界では高齢化が進んでいます。

前出の「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、平成28年度(2016年度)における建設業就業者の年齢階層別構成比は、55歳以上の割合が33.9%、34歳以下の割合は19.1%となっています。平均年齢は、44.2歳となっており、他業界に比べても高齢化が進んでいます。

建設業界において高齢化が進むことで、現場での力仕事が困難になるほか、退職によってベテラン作業者のノウハウが失われるといった弊害が懸念されます。もちろん、前項でお伝えしたように、若手の採用が困難なままであれば、人手不足にも発展します。

人手不足解消のための業務効率化

ここまでお伝えしてきたように、建設業界において高齢化が進み、若い担い手が減ってきています。この状態が続けば、高齢化した従業員が次々と退職時期を迎える中、建設業界を支える従業員数は下降の一途をたどるでしょう。 実際に、国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によれば、建設業就業者数は平成9年度(1997年度)をピークに減少傾向にあります。

もちろん、IT化・ICT化による3Kの払拭などで、今後、建設業界に人気を取り戻すことは不可能なことではないでしょう。しかし、建設業界に限らず、日本全体を見た時に少子高齢化が進んでいます。

1997年、子どもの数が高齢者人口を下回り、少子高齢化社会に突入し、翌2008年頃からは、日本の総人口が減少し始めました。

こうした状況を踏まえると、建設業界の労働人口の増減に関わらず、業務効率化を進めて省人化する必要があるといえます。

建設業がIT技術を導入するメリット

建設業界でIT化・ICT化を推進することのメリットを、詳しく見ていきましょう。

建設業がIT技術を導入するメリット① 承認作業にかかる時間を節約できる

たとえば一般的な申請処理業務を見てみましょう。これまでは、作成された書類を各部署で回し、承認を行うのが一般的でした。何らかの問題があれば申請者にコンタクトし、説明をさせるといったケースも少なくないでしょう。

しかし、グループウェアを用いた承認フローはこの「書類回し」が自社のネットワーク上で完結します。PCやスマートフォンなどのデバイス上から申請されたデータは、即時上長に送られます。それを見た上長は、その場で電子承認・決済が行えます。モバイル端末が利用できる環境であれば、わざわざ自席に戻り、判子を探す必要もありません。

このように、出退勤や休暇届はもちろん、立替経費や出張旅費などの出脳処理、給与明細に至るまでがデバイス上で行えるようになると、大きな時間節約につながるでしょう。空いた時間をコア業務に回すことができれば、より生産性が高まります。

建設業がIT技術を導入するメリット② データの共有を素早く正確に行える

従来の情報共有は、テキストや写真などをメールで一斉送信するという流れが一般的でした。しかし、これはあくまでPC操作を行う現場監督及び事務方のスタッフだけの話。そのほかの従業員に対しては、電話や口頭説明といったあいまいな情報共有がなされていたと言わざるをえません。これでは「情報を伝える」という行動自体のコストがかかってしまいます。

しかし、PCやスマートフォン、タブレットを配布し、ERPや社内SNSといったシステムを導入すれば、情報共有の円滑性を劇的に改善できます。システムに送られたデータは瞬く間に関係各所が閲覧できる状態となるため、ロスがありません。

さらに、グループウェアなどであれば、そこでディスカッションが行われることも。このように、コミュニケーションのハードルが下がったことが、結果的に情報共有のスピードと正確性を向上するのに役立ったのです。

たとえば、小規模建設・工事業向けに特化したERPソリューション「ガリバー匠」では、財務管理、給与管理をはじめ、各システムが連動し、リアルタイムに経営情報の把握を可能にします。素早く正確な情報共有により、管理業務や事務処理全般の効率化が可能です。

建設業がIT技術を導入するメリット③ 移動の回数・時間を減らせる

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本でもテレワークを導入する企業が増えました。 なかには、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発令されている間だけ、限定的に導入していた企業もあるでしょう。しかし、実施してみたことで課題点が浮き彫りになったり、意外に現実的であることがわかったりしたという企業も多いのではないでしょうか。

テレワークでは、部署内や取引先などとのミーティングや会議を、Web会議ツールなどを活用してオンラインで行うケースがほとんどです。これにより、通勤や取引先への移動にかかっていた時間を節約し、重要な業務やリフレッシュの時間に当てることができるようになります。

ただ、建設業界の場合、実際に現場へ出向いて行わなければならない作業が多いため、「テレワークとの親和性がないのではないか?」と考える方もいるでしょう。建設業界でテレワークを導入する場合、メリットとなるのは設計図や申請書、報告書、日報といった書類仕事のために、わざわざ現場からオフィスへ移動しなければならないという無駄をカットできる点です。 たとえば、スマートフォンなどモバイルからアクセスできるクラウドサービスを利用すれば、現場への直行直帰が可能になります。

建設業がIT技術を導入するメリット④ 働き方改革を実現できる

2019年から順次、働き方改革関連法が施行されていますが、建設事業については、自動車運転業務や医師と並び、時間外労働の上限規制が2024年3月まで猶予されています。ただ、2024年4月からは、原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働ができなくなり、違反した場合には罰則が課される恐れがあります。

IT・ICTの活用により、業務効率化やテレワークを実施することで、長時間労働を是正したり、柔軟な働き方を実現でき、働き方改革につながります。

たとえば、建設・工事業に特化した勤怠管理システム「勤CON管」を活用すれば、36協定に関わる時間外労働時間を管理して、超過したらアラートを表示でき、働き方改革を実現しやすくなります。スマートフォンやタブレットでどこからでも利用可能で、出退勤の入力時の位置情報を記録できるため、直行直帰も公正に管理可能です。

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上記のように、IT化・ICT化で業務効率化を実現することで、人手不足解消にもつながります。

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これからの「建設業×IT技術」の展望

このように、建設業界へのIT技術導入には多くのメリットが存在します。普及が始まった理由も、ここにあると言えるでしょう。

一方で、IT技術を使いこなすためには、従業員にITスキル向上が求められます。そのため、建設業従事者は業界特有の技術取得に加え、各種アプリケーションの操作について習得しなくてはなりません。とくに主任・所長といったITスキルの指導者的役割も課せられるため、さらなる勉強が必要とも言えます。そのほかにも、企業側には紙ベースで管理されていた情報を電子化したり、必要な周辺機器を揃えたりといった施策が求められます。こうした課題はあるものの、今後の建設業にとってIT技術の活用が不可欠であることは明白。生産性を向上させ、これまで以上に効率良く品質・工程・安全・原価・現場業務を管理していくために、積極的なIT活用が求められています。

建設業のIT化を成功させる方法

他業界に比べるとIT化の遅れていた建設業界において、IT化を成功させるには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

経営層のトップダウンによって推進する

IT化が進んでおらず、従業員のITリテラシーも高くはない建設業界において、新たなITツールの導入には、現場の抵抗が強いことが予想されます。
このため、経営層が全社的な取り組みとして推進し、IT化の重要性やメリットを丁寧に説明して理解を得ることが大切です。

現場のニーズを踏まえたツールを選定・導入する

現場の従業員のIT化への抵抗を解消するためにも、現場の従業員のニーズを満たすツールを選定・導入することが大切です。たとえば、現場が抱えている課題を解消できたり、業務効率化が進むことで残業時間が減ったり、休暇を取りやすくなるなど、現場の従業員がIT化のメリットを実感できるようにすることがポイントです。

全員が使いこなせるツールを選定・導入する

IT化が遅れている企業では、従業員のITリテラシーも高くないことが多いです。このため、デジタルが苦手な従業員でも使いこなせるようなツールを選定・導入することが重要です。
たとえば、機能や画面などがシンプルなものや、操作が簡単なもの、直感的な操作が可能なものなどが良いでしょう。

導入は段階的に行い、導入後に評価と改善を行う

IT化を急激に進めれば、現場の抵抗も強まります。スモールスタートできるようなツールを選定・導入するとともに、導入後は定期的に評価を行い、より高い効果が出るよう改善を実施しましょう。

まとめ

建設業界におけるIT技術導入は、業界が持つ問題の緩和に役立つと考えられています。加えて、先進的なソリューションが向上する生産性は、事業発展にも大きく寄与するでしょう。現状の課題に思い悩む建設業者の方は、ぜひIT技術導入を検討してみてください。

もし、IT化に取り組み始めて間もないのなら、建設業界に特化したITツールを導入することでスムーズに定着・活用が進められるでしょう。
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