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未成工事支出金とは?|建設業ならではの会計項目の正体
建設業では、ほかの業界とは異なる独自の方法で会計処理を行います。会計項目も異なり、工業簿記の「仕掛品」に相当する項目は「未成工事支出金」と呼ばれています。未成工事支出金では、在庫を多めに計上したり、反対に少なく計上したりできてしまうため、どんぶり勘定になりがちです。しかし、どんぶり勘定が続くと、経営が混乱してしまいかねません。こちらでは、未成工事支出金についてお伝えします。
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1.未成工事支出金とは
建設業界では、一般的な商業・工業簿記ではなく「建設業会計」という経理方法を用いています。工事には長い時間がかかるため、ほかの業界と異なり、会計の区切りである1年で業績を計算できません。しかし、投資家からは1年単位での業績公開を求められます。そのため、業界独自の方法で会計処理をしているのです。
建設業界の簿記では、項目も商業・工業簿記とは異なります。その違いのひとつが、未成工事支出金です。未成工事支出金とは、まだ完成していない工事でかかった費用や支出を指します。未完成のものを売上として計上するわけにはいかないため、工事中の期末は資産として計上して、次期へ繰り越すのです。「売上になる前のお金」という意味で、工業簿記の「仕掛品」に相当します。
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2.未成工事支出金は「仕掛品」にあたる
「未成工事支出金」は、一般的な簿記の「仕掛品」に相当するとされています。「仕掛品」とは、原料を仕入れてから、まだ完成していない製品のことです。たとえば、材料費が5,000円で加工費が2,000円の製品の完成度が70%の場合、仕掛品の額は(5,000(円)+2,000(円))×0.7(70%)=4900(円)となります。
未成工事支出金の考え方も、基本的に仕掛品と同じです。ただし、完成度についての考え方は少し異なっています。製品づくりと異なり、工事は終わるまでに数年かかることも珍しくありません。そのため、今年始まった工事をその年のうちに会計処理できないケースが多くなります。工事が終わるまでは、かかった費用を「未成工事支出金」として計上しておきます。完成度に応じて未成工事支出金を計上し、完成してから初めて売上として記録するのです。
3.未成工事支出金はどんぶり勘定になりがち?
未成工事支出金は、どんぶり勘定になりがちなため、注意が必要です。建設業界ではよく、利益を多く見せようとして在庫を多めに計上したり、反対に利益を少なく見せようとして在庫を少なく計上したりする例が見受けられます。
このような曖昧な会計処理を続けていると、在庫の金額が実際とかけ離れ、工事原価を把握できなくなってしまいます。すると、儲かっているのか儲かっていないのか分からなくなり、工事が完成するまで赤字か黒字かを判断できない状況に陥るのです。
原価が曖昧なまま受注を続けことは、赤字受注にもつながります。赤字受注を防ぐためにも、未成工事支出金は正確に記録しておきましょう。
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4.会計ソフトでしっかり管理するのがオススメ
未成工事支出金はどんぶり勘定になりやすいため、会計ソフトを使ってしっかり管理するのがおすすめです。現在は、さまざまな種類の建設業用の会計ソフトが販売されています。
ソフトを使えば、工事別の予算管理や工事原価管理、完成振替といったさまざまな機能が利用可能です。建設業界独自の機能も搭載しており、計算がスムーズに進みます。
会計ソフトは幅広い価格帯でラインアップされています。クラウド版や無料体験版を用意しているところもあるため、まだ会計ソフトを導入していない方はぜひ使ってみましょう。
5.まとめ
未成工事支出金とは、まだ完成していない工事にかかった費用や支出のことです。工業簿記の「仕掛品」にあたります。未成工事支出金はどんぶり勘定になりがちな項目です。曖昧な会計処理が続くと、儲かっているのか儲かっていないのかが分からなくってしまうため、注意が必要です。未成工事支出金は会計ソフトを利用して、正確に管理しましょう。