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【2024年版】建設業界の今後の動向と課題を解説
建設業界の今後の動向として、短期的には、コロナ禍の影響が薄れるにつれて市場が回復し、さらに拡大していくことが予測されます。ただし、人口減少に伴う住宅需要の減少や国際競争の激化を考えると、長期的には市場が縮小していく可能性があります。
建設業界は少し前まで「建設バブル」と呼ばれるほどの好況でしたが、現在ではコロナウイルス感染拡大の影響で苦境に立たされています。
また、建設業界が抱えている課題はいまだ解決に至っておらず、建設業界の未来のためには考えるべきことが多数あるといえるでしょう。
そのため今回は、withコロナ時代における建設業界の現状と今後の課題について解説します。
1.2024年の建設業界の現状
2024年の建設業界も、2020年から続くコロナ禍の影響を依然として大きく受けています。
コロナによる建設業界の現状
コロナウイルスにより、様々な業界が苦戦を強いられていますが、建設業界も例外ではありません。
コロナウイルスの感染拡大までは、東京オリンピックや都市再開発などの影響で「建設バブル」とまでいわれるほどの好況だった建設業界も、大きなマイナスの影響を受けてしまっています。
特に、飲食店や宿泊業などのサービス業への影響が深刻であり、中小規模の建設現場における工事の中止が相次いでいます。
増加する建設業界の倒産件数
中小企業庁の発表によれば、2022年の建設業の倒産件数は1,194件となっており、前年の1,065件に対して12%増となっています。なお、2021年までは減少傾向でした。
この背景には、上記のようにコロナ禍による受注件数の低下に加えて、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇や近年の円安の影響により建設資材が高騰した結果、高コストになっている点が挙げられます。発注者への価格転嫁はしづらいため利益を圧迫し、倒産につながっているといえます。
2.建設業界で働く従事者の現状
国土交通省が発表した『建設産業の現状と課題』によると、建設就業者はピークだった1997年以降減少傾向にあり、また現在では、55歳以上の高齢者が1/3以上を占め、高齢化も進んでいます。
そして、その高齢労働者の方々は、今後10年間で大半が引退するとみられるため、中長期的な建設業の担い手を確保する必要性に迫られています。
具体的には、2025年時点で技能労働者数が47万人~93万人不足するとみられており、この差分をどう埋めていくかが課題になっています。
また、建設業界における労働環境も決して良好とはいえません。
所定外労働時間こそ、全産業の年間平均132時間に対し、建設業は160時間とそれほどの大きな差はありませんが、建設業界においては、休日取得状況が問題視されています。
建設工事従業者の65%が4週4休以下で就業しており、年間出勤日数は、全産業の平均である224.4日と比較して、26.9日多い251.3日(平成27年度実績)と試算されています。
3.建設業界の市場規模
国土交通省が令和5(2023)年9月に発表した「令和4年 建設業活動実態調査の結果」によれば、令和3(2021)年10月から令和4(2022)年9月までの1年間の建設業界の国内売上高は14兆7,243億円(前年比2.0%減)、海外の契約金額は2兆3,537億円(前年比47.2%増)となっています。
また、前年の同データでは、国内が15兆282億円(前年比10.6%減)、海外が1兆5,993億円(前年比36.2%減)となっており、国内売上高は減少傾向が続いていることがわかります。
なお、コロナ以前の「令和2年 建設業活動実態調査の結果」では、令和1(2019)年10月から令和2(2020)年9月までの1年間の建設業界の国内売上高は16兆8,148億円(前年比3.5%減)、海外の契約金額は、2兆5,066億円(前年比4.4%増)となっています。
同資料に“国内売上高の総額は、9年連続の増加”との記載があることから、コロナ前までは国内の建設業界の市場規模は拡大しており、コロナを機に減少傾向にあることがわかります。
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4.建設業界の今後の動向と課題
ここまでご覧いただき、建設業界においては若い世代の担い手を確保していくことが急務であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
そしてそのためには、労働環境を向上させていくことが重要な要素となりそうです。
ここからは、建設業界の今後の動向と課題を整理して紹介していきます。
5.建築業界のDX化を進める
コロナで苦境に立たされ、依然としてコロナ前の水準まで回復していない建設業界においては、DX化の促進が重要だと考えられます。
まず、ITの活用によるコミュニケーションの効率化や事務作業のデジタル化を進めることで、業務効率の改善が見込めるでしょう。
建設業界においてITが活かせる場面は様々あります。例えば、図面管理や施工管理などをスマホ・タブレットで行えるようにすれば、業務がよりスムーズに進められるようになります。
また、アフターコロナ、ウィズコロナにおける働き方の形として、在宅勤務やテレワークの制度を整備することも求められます。
建設業というと、現場での仕事を思い浮かべる方も多いでしょうが、実際には受発注業務や設計・施工管理など、オフィスワーカーも活躍しています。
オフィスワーカーのテレワーク環境を整備し、対面でのコミュニケーションを最小限にすることで、より円滑に業務を進められるようになるでしょう。
6.時間外労働の上限規制に対応する
従来、長時間労働や休日の少なさが課題となっていた建設業界ですが、2024年4月からいよいよ改正労働基準法の「時間外労働の上限規制」が適用されます。
適用により、36協定を締結していても「月45時間」「年360時間」を超えた残業に関しては、「年間720時間」「複数月平均が80時間」「時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満」という上限が適用されるようになります。
押さえるべきポイントは、次の3点です。
・残業時間の管理環境を整える
・業務の無駄を削減、質を向上させる
・ICT化やAIロボットの活用ができるかを検討する
特に、Excelやタイムカードによる手計算で管理している場合は、不正やミスなどにより正確な労働時間を把握できていない恐れがあります。
また、集計業務に時間がかかり、締め日の集計結果を待たないと勤怠状況が把握できない点もデメリットです。
勤怠管理システムを導入・活用することで、これらの問題を解消することができます。
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7.建築業界で働きやすい環境を作る
建設業界では人材確保も重要であり、そのためには労働者が働きやすい環境を作ることが重要です。
近年では、適切な賃金水準の確保や安定的な仕事量の確保、週休2日モデル工事の拡大など、様々な施策が行われています。
また、女性活躍の推進や教育訓練の充実なども、抜本的な改善に向けた近年の取り組みとして挙げられるでしょう。
さらに、以前より問題視されていた社会保険未加入への対策においても、元請け・下請けと行政が一体となった取り組みを推進しています。
こうした取り組みにより、技能労働者の処遇の向上や、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保を行うことが重要だといえるでしょう。
8.将来的には海外へのインフラ展開も
今後、国内の大きな需要が見込めないとしても、海外に目を向ければ、まだまだインフラ整備が必要な新興国への展開が期待できます。
海外インフラへ展開することで得られるメリット
海外インフラへ展開することで、日本のブランドイメージや信頼性を向上させ、日本の国際的な影響力を強化するとともに、展開先国との協力関係を深めることで、日本の外交や安全保障にも好影響を与えることが期待できます。
また、海外インフラ展開によって日本の技術力や品質を高めるとともに、国内の雇用や付加価値創出にもつながります。
日本政府の取り組み
日本政府は、上記のようなメリットから、海外インフラ展開のためにさまざまな施策を講じています。
首相官邸が2020(令和2)年12月に発表した「インフラシステム海外展開戦略2025」によれば、2010年の10兆円を基準として2020年に約30兆円の受注を獲得するという目標額(KPI)に対し、2018年時点の実績で約25兆円と、増加基調を維持しているといいます。
今後、さらに受注額を伸ばすべく、政府は同資料によってカーボンニュートラルへの貢献やデジタル技術・データの活用促進、質の高いインフラと現地との協創モデルの推進といった具体的な施策の柱を定めています。
また、国土交通省は上記の資料を踏まえて2022(令和4)年6月、インフラシステム海外展開を推進するために、国土交通分野における今後取り組むべき主な施策や注視すべき主要プロジェクトを取りまとめた「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2022」を決定しました。
これにより、従来の鉄道や港湾、航空などの10分野に「物流」を新たな分野として追加するとともに、「都市開発・不動産開発・スマートシティ」分野に「住宅開発」を明記しました。
なお、海外へのインフラ展開では、単にインフラ機器の輸出だけでなく、インフラの設計、建設、運営、管理を含む「システム」としての受注も目指しているため、建設業界も大きな恩恵を受けられるでしょう。
建設業界では、こうした国を挙げての施策を後ろ盾に、海外インフラ展開に向けて準備を整えると良いでしょう。たとえば、情報収集や人材の育成、技術開発などが考えられます。
9.まとめ
建設業界では現在、高齢化とそれに伴う、若い担い手不足が問題になっています。また、コロナ禍によって、ますます苦境に立たされてしまったというのが現状です。
この苦しい状況の中、建設業者が生き残っていくためには、IT化の推進による生産性の向上、業務効率化が急務だといえるでしょう。
「時間外労働の上限規制に対応する」でお伝えしたように、残業時間や休日労働を抑制するためには、無駄な業務を省くとともに、正確な勤怠状況をリアルタイムに把握する必要があります。
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