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安全協力会費の消費税は課税か非課税か?

安全協力会費の消費税区分について、建設会社に勤めている方でも知らないこともあるのではないでしょうか。今回は、安全協力会費とはどういうものなのか、税の扱いについても国税庁による消費税区分の判断基準を安全協力会費と照らし合わせながらご紹介します。
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1.安全協力会とは?
安全協力会とは、建設現場における労働災害の防止や安全意識の向上を目的として、元請業者と下請業者が共同で組織する団体のことです。建設現場における安全対策を強化するために、重要な役割を果たします。
安全協力会の主な活動内容としては、以下のようなものがあります。
・安全教育・研修の実施
・安全パトロール・指導の実施
・安全情報の収集・提供
・安全意識の啓発活動
安全協力会費とは
安全協力会費とは、事故を未然に防ぐため災害事例の紹介や危険周知を目的として作られた安全協力会における会費のことです。元請会社が下請け会社や協力会社から徴収しますが、徴収の仕方も元請会社によって異なり、徴収額も月定額制や請負金額の数%など様々です。
下請け業者が工事を請け負う際に、必ず元請会社と下請け会社で交わすことになる「請負工事下請基本契約書」や「注文書」「注文請書」に「支払額の〇%」といった安全協力会費の具体的な金額が明記されています。
元請会社によって安全協力会の事業内容は変わりますが、会費は一般的に労災保険などの社会保険料に充てられるほか、月に一度常連である協力会社の親方が集って開催される安全大会などの催しに充てられる場合もあります。また、安全・衛生週間においては、安全に関する意識の向上や維持を目的としたポスターやチラシなどの配布費用も会費の一部に含まれるのです。
元請会社が、安全協力会の大元として会費のやり繰りをするパターンもありますが、元請会社とは別に独立した協力事務局が会計報告するパターンもあります。その場合、下請け業者や協力会社だけでなく、元請会社も安全協力会費として出費することもあるのです。
さらに、建設物が大きければ大きいほど協力会社も多くなりますので、安全大会といった催しの費用も、会場の確保や懇親会の開催でおのずと高くなります。下請け業者や協力会社の会費だけでは賄いきれない場合は、元請会社が残りの額を雑費として計上することもしばしばです。
2.安全協力会費の徴収額の目安
安全協力会費の徴収額は、それぞれの協力会によって異なるため、一概に目安は提示できません。ただし、金額については、元請と協力会社の間で合意していることが前提となります。
安全協力会費の一般的な徴収方法として、以下が挙げられます。
・定額会費:一律に会費を徴収する方法
・定率会費:取引高に応じて会費を徴収する方法
定額会費と定率会費を併せて徴収している協力会もあれば、定率会費のみを徴収している協力会もあります。
また定率会費の場合、取引する業者の区分に応じて、会費徴収率の比率が変わるケースがあることも特徴です。協力会によっては、定率会費の金額に上限を設けていることもあります。
なお、元請負人が下請負人へ代金を支払う際、特定の費用を差し引く「赤伝処理」にて、安全協力会費を徴収する際は、以下のことに留意が必要です。
・元請負人と下請負人の双方で協議・合意を行っている
・赤伝処理の内容を見積条件・契約書面で明示している
・赤伝処理を適正な手続きに基づいて実行している
・赤伝処理の差引額が、下請負人の過剰負担とならないように配慮している
上記のルールを守らずに安全協力費を徴収すると、建設業法などに違反するおそれもあるので、十分に注意しましょう。
3.安全協力会費は非課税
安全協力会費の課税区分について、一般的に元請会社は運営のための会費、あるいは労災保険といった社会保険料に充てるという名目であり、非課税対象にあたります。理由は、国税庁が「同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。」と明記しているためです。
(引用元:国税庁タックスアンサーNo.6467)
よって、安全協力会費が労災保険といった社会保険料に充てられた場合や会費とみなされた場合は、対価関係がないことになり課税仕入れにはあたらず、非課税対象です。
一方で、懇親会や研修会の費用として計上する場合は、対価関係があるとみなされ課税対象になる可能性もあります。しかし、懇親会や研修会に使用したとしても、元請会社は会費や保険料の名目で計上しますので、大抵の場合は非課税対象です。
また、保険料といっても、徴収された額と掛け金との対応関係が下請け業者に明確に提示されるわけではなく、保険料で使ったのちの余った額の使途は、福利厚生や懇親会の費用となるケースも少なくありません。
この件について、果てして許諾されるのか疑問に思うかもしれませんが、税務署側からすると非課税になることで納付額が多くなるため、咎められることはあまり考えられないでしょう。
4.安全協力会費が課税扱いになる場合
前章でお伝えしたように、安全協力会費は原則として非課税です。
ただし、場合によっては課税扱いになるケースもあります。
具体的には、「モノやサービスの対価として支払いがあった場合」や「懇親会などの費用を負担した場合」です。
前者は、前章で述べた通り、国税庁の規定で明記されているものです。たとえば、安全教育や研修を外部から講師を招いて実施したり、安全性を高めるために装備や機械を導入したりした場合は、課税対象となります。
後者は、交際費とみなされるために課税対象となります。たとえば、飲食代や贈答品などが該当します。
非課税処理する場合は事前に通知し、安全協力会も協力会社も、ともに非課税であることを把握しておくことが条件になるので、ご注意ください。
5.安全協力会費は合意と配慮が必要
安全協力会の発足、及び会費と支払いは法律上決められているわけではありません。しかし、建設業の業務においては危険が伴います。その危険を防止し安全を確保することは元請会社が一括して行いますが、下請け業者や協力会社の協力がないと務まらないのも確か。そのため、災害事例の周知や危険予知活動などをする安全協力会があり、運営するための会費が発生するのです。
下請け業者からみれば、請負金額が形もない会費で相殺されているだけと感じることも少なくありません。ただし、支払い義務はないにしても、大きな仕事をもらうのは元請会社からが通常なので、支払わないわけにもいかないでしょう。
そこで、元請会社は、下請け業者と「注文書」「注文請書」を交わす際に、安全協力会費をどのように使うのか明記、または安全に関するDVDやポスターを随時送付するなど安全に対して配慮をする必要があります。また下請け業者は、自分らの命を元請会社に委ねていると自覚して、最善を尽くしてもらうために協力を惜しまないという姿勢を見せることが大切です。
このように、安全協力会費において元請会社と下請け業者は互いに配慮し合い、合意の上で良好な関係性を成り立たせることが重要だと言えるでしょう。
6.安全協力会費の計算方法
前述のとおり、安全協力会費の徴収方法には、定額会費と定率会費があります。定率会費の場合、業者の区分に応じて、取引高に課される会費徴収率が異なるケースがあります。
【定率会費の会費徴収率の例】
・第1種(大工・鉄筋工や、建設用重機専門業者)…0.06%
・第2種(第1種以外の工事請負業者)…0.04%
・第3種(材料納入業者等)…0.01%
あくまで上記は一例ですが、仮に第1種の関連業者の取引高が100万円の場合、安全協力会費として600円を徴収することになります。
【定率会費の計算例】
・100万円×0.06%=600円
安全協力会費を徴収する際は、上記のように算出した定率会費や、定額会費を支払い額から差し引いた上で、支払い処理をする必要があります。安全協力会費の仕訳処理を行うときの勘定科目には、「諸会費」や「雑費」を用います。
なお、協力会によって料率や条件が変わるため、計算ミスを回避するには事前にフォーマットを作成し、管理することが大切です。例えば、エクセルを活用した場合、請求額を入力するだけで簡単に定率会費を計算することができます。
とはいえ、安全協力会に関するすべての情報をエクセルなどで管理する場合は、入力ミスが発生したり、ファイルの管理が煩雑になったりする可能性があるので、注意しなければなりません。
また、関数やマクロの機能を使っているために、一部の担当者のみが業務を行い、属人化に陥るおそれもあります。このようなエクセルのデメリットを解消するため、安全協力会の情報の管理が可能なシステムの導入を検討してみても良いでしょう。
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安全協力会の管理で発生する事務作業を効率化させたいという方は、ぜひ会員管理クラウド「管兵衛」の導入をご検討ください。安全協力会に特化した「管兵衛」を導入すれば、電子化による業務効率の向上やコスト削減、情報の一元管理などを実現できます。
また「管兵衛」を、以下のような用途に活用することで、安全協力会の組織運営をスムーズに行えることも魅力です。
・安全大会・定時総会などの案内を一斉通知し、出欠を管理できる
・災害事例や教育に関する資料をクラウド上で共有できる
さらに、参加申込書やアンケートの管理もシステム内で簡単に行えるので、より良い組織運営に向けて役立てられるでしょう。
導入に際しては、事前に業務課題やお悩みをヒアリングした上で、最適な改善案をご提案いたします。専任スタッフによる各種設定のサポートや、運用開始後のサポートも充実しているので、お気軽にお問い合わせください。
7.まとめ
従来、安全協力会費についてどう使われているのか不透明だったことにより、実態がわからないと消極的にとらえていた方もいるのではないでしょうか。しかし、建設業には危険がつきものです。元請会社と下請け会社の協力がないと、無事故で竣工まで迎えることは容易ではありません。
安全に施工させる環境を作る元請会社と、安全について全面的に協力する下請け業者が尊重し合いながら、工事を進めていく必要があります。そこで、互いの齟齬がないように着工前に元請会社が安全協力会費についてしっかり説明し、下請け業者と合意の上で契約を交わすことが大切です。
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