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電子帳簿保存法(電帳法)の知っておくべきポイント

電子帳簿保存法(電帳法)の知っておくべきポイント
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2020年(令和2年)10月に改正された電子帳簿保存法が施行されたことによって、経費処理の効率化、作業人員やコストの削減、書類の保存場所の縮小を図ることができるようになりました。 経費処理に充てていたリソースを他に割くことができるため、さらなる生産性の向上が可能です。 また、従業員の手間が減るのでワークライフバランスの確保やリモートワークの推進がしやすくなります。

コスト面や利益率の改善にもつながるため、電子帳簿保存法や改正ポイントについてしっかり押さえておく必要があります。
ここでは、電子帳簿保存法(電帳法)の内容や、今回の改正ポイントについて解説します。

1.電子帳簿保存法(電帳法)に関わる電子取引とは?

電子帳簿保存法(電帳法)は、国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めた法律です。この法律では、以下の点についてのルールを定めています。

● 国税関係帳簿書類をパソコンで記録・保存
● 紙媒体をスキャナで取り込み保存
● 取引先との電子取引情報の保存

電子帳簿保存法の制定以前は、国税関係帳簿書類は紙での保存が義務付けられていましたが、制定後は領収書などの帳簿関連書類の電子化が認められたため、書類の原本を破棄できるようになりました。

紙媒体のままだと書類の保存が大変な上に、必要な情報を確認するのに時間がかかることもありましたが、電子帳簿保存法の登場によって効率的に記録・管理することが可能になったのです。

1998年7月に法律が制定された当初は、要件が多く使いづらいとされていましたが、以下の改正を経て多くの要件が緩和され、現在では多くの企業が電子化に対応しています。

● 2005年:紙の書類をスキャンしたデータも対象に含める
● 2015年:金額、電子署名に関する要件が緩和
● 2016年:デジタルカメラやスマートフォンで撮影した請求書や領収書データも対象に含める
● 2018年:A4サイズよりも小さい領収書データも対象に含める

また、電子帳簿保存法によって電子保存できる国税関係帳簿書類は、以下のものが対象です。

● 帳簿:仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳、固定資産台帳など
● 決算関係書類:貸借対照表、損益計算書、棚卸表、決算に関して作成した書類など
● その他の証憑書類:請求書、契約書、領収書、注文書、納品書、検収書など

なお、その他の証憑書類は発行分のみが電子保存の対象です。スキャナ保存は、帳簿と決算関係書類は対象外となっています。 また、手書き作成した仕訳帳や、総勘定元帳等の主要簿、請求書の写し、補助簿などは、現在のところ電子帳簿保存法の対象にはなっていません。

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2.電子帳簿保存法(電帳法)が経理業務に関わる主な改正点

改正された電子帳簿保存法が2020年10月1日から施行されました。
今回の主な改正ポイントは「利用明細データが領収書代わりになる」「受領者側のタイムスタンプが不要」の2点です。

今回の電子帳簿保存法の改正によって、クレジットカードやPayPay、Suicaなどのキャッシュレス決済で受領した利用明細データを保存しておけば、領収書の受領が不要になりました。
これまでは、レシートをスマホで撮影して保存する必要がありましたが、今回の改正からは証憑の撮影やアップロードをする必要がなくなります。領収書代わりに利用明細データを使用できるようになったことで紙の領収書が不要になるため、経費処理や書類の管理負担を軽減することが可能です。

また、タイムスタンプに関しても緩和されています。 従来は、紙の領収書をスマホで撮影やスキャンする場合、3日以内にタイムスタンプを付与しなくてはなりませんでした。タイムスタンプを付与することで、データの改ざんを防ぐためです。
そのため、期間内にタイムスタンプの付与ができなかった領収書は、従来の電子帳簿保存法では電子データとしては正確な書類として認められませんでした。

しかし、今回の電子帳簿保存法改正によって、ユーザーが改ざんできないクラウド上のデータはタイムスタンプが不要になります。また、電子取引で発行者側のタイムスタンプが付与されたファイルを受け取った場合は、受領者側のタイムスタンプを付与する必要はありません。

●2020年電子帳簿保存法改正のメリット
今回の電子帳簿保存法改正によって、企業や従業員にとって以下のようなメリットがあります。

● 経費処理負担の軽減
● 自宅や外出先でも経費処理が可能
● 清算処理のミスを防ぐ
● 印紙代の削減

利用明細データを領収書の代わりとして使用できるようになり、タイムスタンプが不要になったことで、従業員や経理担当の経費処理負担を大幅に軽減できます。
紙の領収書を保管したり、書類を探したり、糊付けしたりする手間を省けるので、仕事の効率化を図ることができ、生産性を高めることにつながるのです。そのため、これまで経費処理に割いていた人員や時間を他の仕事に充てることが可能になります。

また、自宅や外出先でも経費処理ができるため、経費処理だけのために出社する必要がなくなります。
従業員のワークライフバランスを保つことや、コスト削減による利益率の向上にもつなげることが可能です。リモートワークも推進しやすくなるでしょう。

伝票の誤入力や領収書の撮影時のブレや書類の紛失などのミスを回避しやすくなる点も、電子帳簿保存法改正のメリットです。
従来の方法だと、手入力など人が対応する部分が多いため、どうしてもミスが発生してしまっていました。しかし今回の改正によって、経費処理をほぼ自動化することができるため、ミスを防ぐことが可能になったのです。

さらに、建設業など、取引先を多く抱える企業にとってのメリットも存在します。 新しい取引先と基本契約を締結する際に電子契約書を原本とすれば、基本契約書の印紙代を削減できます。
今回の改正で電子取引の規制が緩和されたことにより、取引先との契約がよりスムーズになりました。

3.電子帳簿保存法(電帳法)の保存期間について

帳簿書類の保存期間は7年間です。総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳などの帳簿、貸借対照表や損益計算書などの書類は、申告書の提出期限の翌日から7年間保存することが義務付けられています。

電子取引でデータを出力して紙で保存する場合は、元データは保存する必要はありません。
また、2015年・2016年の税制改正によって、2018年4月1日以後に欠損金が生じている事業年度においては、帳簿書類を10年間保存する必要があります。

●書類の保存方法
帳簿書類の保存方法は、原則紙ベースによる保存です。ただし、帳簿書類のうち注文書や見積書などは、4年目からマイクロフィルムの保存に切り替えることができます。帳簿書類については6年目から切り替えが可能です。

電子帳簿保存法の申請をしている場合は、1年目から電子データで保存できます。
書類やマイクロフィルムで7~10年保存するとなると、保存場所の確保が大変な上、管理コストもかかります。しかし、1年目から電子データで保存できれば、保存場所の確保や管理コストを少なく抑えることが可能です。

電子データで保存をするには、まず会社で使用している会計ソフトに電子帳簿保存法で要件とされている機能が備わっているかを確認する必要があります。その上で「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を記入し、税務署へ申請します。
電子保存を開始する3カ月前までに申請が必要なため、たとえば4月1日から開始したい場合には、前年の12月31日までに申請してください。

4.まとめ

今回ご紹介したように、今回の電子帳簿保存法(電帳法)の改正によって従来の経費処理の手間を格段に減らすことができるようになりました。
データの電子化に対応できれば、処理や保存にかかる人員やコストの削減が可能です。保存期間が7~10年である点は変わりありませんが、書類やマイクロフィルムとは違って保存場所を大幅に縮小できます。

会社のコストや利益率の改善、従業員のワークライフバランス確保や生産性向上にもつながるため、この機会に電子化への移行を進めてみてはいかがでしょうか。

 
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