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企業の法定福利費が増加しているってホント?

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福利厚生は、企業の従業員の働きやすさの指標のひとつです。その福利厚生のあり方や内容は、移りゆく時代とともに変化を見せています。 福利厚生のうち、健康保険や厚生年金保険を含む法定福利費は年々上昇しており、企業が負担する費用は今後も増加していくことが想定されます。
ここでは法定福利費について、その内容と最新の実情を解説します。法定福利費が増大している要因についても、法定福利費を構成する各項目を確認しつつ詳しく見ていきましょう。

1.企業の法定福利費は増加している

法定福利費とは

企業における福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。法定福利費とは、企業が福利厚生のために支出する金額のうち、法令や政令によって会社自体に費用の負担が義務づけられているものです。法定福利費に該当するものの例として、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料、雇用保険料や労災保険料といった労働保険料などがあります。たとえば、健康保険料が労使折半であることは広く知られているでしょう。また、従業員が業務上や通勤途中でケガをした場合に補償する労災保険の保険料は、全額を企業が負担します。このように企業側の負担が義務となっている福利厚生費を法定福利費と言うのです。

法定福利費と福利厚生費の違い

福利厚生を2つに大別すると「法定福利費」と「法定外福利費」となります。 福利厚生費とは、福利厚生を目的として従業員全員に捻出された費用の総称です。 福利厚生費の中で、法律によって企業の負担義務が発生しているものを法定福利費と言います。家族手当や結婚・出産祝い金は従業員の福利厚生を目的としていますが、これらは法律によって支出を義務づけられていないので、法定福利費として計上することはできません。

法定福利費は増加傾向

日本経済団体連合会による2018年度の報告によると、企業の福利厚生費は全産業平均で1人1ヵ月当たり113,556円となっており、過去最高を記録しました。福利厚生費の構成割合を見ると約8割が法定福利費となっています。法定福利費は、ここ20年間で見ても右肩上がりに上昇しているのです。1998年の時点では福利厚生費に占める法定福利費の割合は7割にも満たないものでしたが、そこから年々増加し、現在では約8割を占めるようになりました。一度は減少に転じたものの、総じて増加傾向にあると言うことができるのが法定福利費です。 法定福利費として計上されている費用のうち、健康保険や介護保険、厚生年金保険料が9割を占めています。少子化と高齢化が同時に急激なスピードで進んでいる現代の日本において、これらの費用は今後ますます増加していくと言われているのです。

法定外福利厚生費は減少

法定福利厚生費が増加している反面、法定外福利厚生費は減少傾向です。法定外福利厚生費の内訳を確認すると、住宅関連への支出は減少し、医療分野や介護・育児といった家庭と仕事との両立に向けたサポートのための費用や、保険や財産形成などの将来への備えを目的とした費用の支出額は増加しています。つまり、これまでのように住宅などいわゆるハコモノへの支援ではなく「補助」を使途とする流れに変わってきていると言えるのです。

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2.法定福利費の増加要因

続いて、法令や政令によって会社自体に費用の負担が義務づけられている法定福利費が増加している要因について見ていきましょう。
一般社団法人日本経済団体連合会の2018年度の調査結果によると、法定福利費の対前年度増減率は3.9%の増加となっています。この結果、従業員1人当たりの法定福利費は、全産業平均で88,188円となりました。少し遡って見てみると2003年度に7万円台を突破し、10年後の2013年度に8万円に達していることがわかります。わずか十数年で金額が大きく増加していることからも、法定福利費は年々膨らんでいることが確認できます。こういった法定福利費の増加要因を探るため、ここでは健康保険や厚生年金保険など、項目ごとにその動向を詳しく見ていきましょう。

健康保険・介護保険

健康保険・介護保険、厚生年金保険、雇用保険・労災保険、子ども・子育て拠出金、その他の5項目からなる法定福利費ですが、健康保険・介護保険は前年度比4.2%増加となっています。少子高齢化の進行が増加要因のひとつと言われており、企業が法定福利費として拠出する金額も増加傾向です。

厚生年金保険

法定福利費の項目のうち、厚生年金保険は前年度比で3.4%の増加となりました。これには、以前から行われていた厚生年金保険料の段階的な引き上げが関係していると言われています。厚生年金保険料の段階的な引き上げは2017年度で終了し、3年ぶりの増加となった現金給与の総額の増加率が、そのまま厚生年金保険への支出額の増加に反映された形です。

雇用保険・労災保険

雇用保険・労災保険は、現金給与総額の伸びを下回りました。これは原則3年ごとに見直されている労災保険料の改定を受けたものと考えられます。「給与」や「賞与」などによって構成される現金給与総額の平均は従業員1人1ヵ月当たり573,765円であり、3年ぶりに増加に転じました。伸び率にすると2.7%ですが、雇用保険・労災保険項目の増加率はこれを下回り、わずか1.2%となっています。

子ども・子育て拠出金

5つの項目からなる法定福利費のうち、最も増減率が大きかったのが子ども・子育て拠出金です。対前年度比27.6%の伸び率となっている理由として、こちらも料率改定が深く関わっている項目と言えるでしょう。それぞれの項目からわかるように、法定福利厚生費が年々大きくなっている理由としては、保険料の負担割合の変更や料率の改定などが挙げられます。

3.法定福利費の今後の見通し

福利厚生費は、それぞれの時代を映す鏡であるとも言われます。これまで重要視されてきた住宅関連費用や慶弔関係を含む法定外福利厚生費は減少し、今後健康保険や厚生年金保険を含む法定福利厚生費はますます増加すると予測されているのです。福利厚生費用は2018年に過去最高額を記録していることを考えると、料率の改定などによる法定福利厚生費の増加率が非常に大きいことがわかります。法定福利費が上昇することにより企業における人件費率も増加するため、これからも増え続けるとされている法定福利費とどのように向き合っていくのか、企業としても安易に考えていられない状況を迎えていると言えるでしょう。

4.まとめ

企業の福利厚生は、人材を定着させ、モチベーションや生産性を高めるための重要なポイントです。求人を探す際や就職活動の際に福利厚生を重要視する人も多く「働きやすさ」を求める従業員は今後ますます増えていくと予測されています。また、一口に福利厚生と言っても内訳は刻々と変化しているため、いかに時代に合った福利厚生を考えるかという点も大切です。法令に沿った形で企業に負担義務のある法定福利厚生費は、増加を続けています。健康保険や厚生年金保険などの保険料が含まれていますが、料率改定などによって従業員1人当たりの負担額は約15年前と比べて15,000円以上増えているのです。

少子高齢化が止まらない日本では、健康保険料や社会保険料の値上がりは今後も避けられず、企業の法定福利厚生費の負担額はさらに大きくなると予測されています。企業が福利厚生を積極的に検討する場合、企業ごとに自由に設定できる法定外福利厚生を重要視しがちです。
しかし今後は法定外福利厚生費をできる限り抑えながら、各項目の動向をチェックしつつ時代に即した福利厚生を目指す必要があると言えるでしょう。

 
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