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ややこしい用語「工事監理」と「工事管理」の違い
建設業における「カンリシャ」は、2つの意味を持ちます。ひとつは建築主(施主)の代理人になり監督業務を行う「工事監理者」。もうひとつは現場責任者としての役割を持つ「工事管理者」です。読み方が一緒で紛らわしい両者の違いについて、今回は詳しく掘り下げていきましょう。
1.「工事監理」を担当するのは建築主の代理人
工事監理者の主な仕事は、設計図のとおりに施工が進んでいるかの確認です。この際、図面だけでは伝わりきらない内容を現場の人に伝える役割もあります。そのため、設計監理者はその建物の設計者や、建築に精通した設計者が任命されるべきと言えます。
工事監理者は「建築主の代理人」とも言うべき存在です。工事現場への指示だしやスタッフとの打ち合わせが難しい建築主に代わり、専門知識を持った工事監理者が適切な施工のチェックを行います。また、工事監理者は現場の確認をした後に、建築主へと報告を行います。
なお、工事監理者は原則、現場への在駐は行いません。必要なタイミングで検査を行い、現場で問題がないかをチェックしていきます。また、問題が起こりそうな箇所について現場監督に事前通知したり、抜き打ち検査などを行ったりするのも業務のひとつです。ちなみに、規模の大きな現場の場合には複数人で確認したり、チェック回数を増やしたりして対応していきます。
2.「工事管理」を担当するのは工事現場を動かす責任者
工事管理者は、工事現場を動かす責任者のことです。多くの場合、施工会社の現場代理人が工事監理者になります。具体的な業務としては、工程計画や施工順序を検討したり、大工などの職人を手配したりする工程管理があります。加えて、材料の発注・管理や、作業員および周辺住民の安全確保、原価管理なども、工事管理者の仕事です。
施工会社のスタッフが工事管理者になった場合、工事期間中は現場に常駐するのが基本です。ただし、外注で工事管理者を雇った場合には巡回という方法も選べます。この点については、建築物の規模等によりケースバイケースです。
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3.工事監理者と工事管理者を分けたほうがいい理由
さて、いずれも詳細を知ればその必要性が分かる工事監理者と管理者ですが、注意しなくてはならない点があります。それは、「監理者と管理者は別々のところに頼む」ということです。
責任施工と呼ばれる工事では、ひとつの建設会社が設計から建築工事までを一貫して引き受けます。確かにこのほうが余計なコストがかかりませんし、建築主の意思がしっかり伝わるように感じるかもしれません。もちろん、そういった側面があることは否定できませんし、すばらしい建物が造られるケースがほとんどでしょう。
しかし、一部の建設会社のなかには、責任施工における工事監理者を下請けの建築家や、自社の社員に兼任させているところがあります。この場合に考えられるデメリットは「監理者がいない状態」になるリスクです。雇われの監理者にとって大切なのは雇い主(この場合は建設会社や施工会社)の指示です。そのため、雇い主の不利になるような指摘を行わない可能性があります。
結果、本来ならチェック・報告が行われなくてはならない事柄がうやむやになる可能性も。とくに建築物は外からの見た目が検査の多くを占めてしまうので、内部的な瑕疵は見つからないことがほとんどです。
上記を踏まえると、責任施工であったとしても、工事監理については建築主の側に立ってくれる人にお願いするのが望まれます。費用はかかりますが、長い時間が経ってから瑕疵が見つかることに比べれば安いもの。さらに、初回の大規模修繕で行われる工事を減らせるという点でもメリットが大きいと言えます。
4.監理と管理、各々に必要な資格
最後に、工事監理者と管理者に求められる資格についても触れておきましょう。
前者については、建築基準法によって工事監理者に必要な資格が決められています。建築物の用途や構造、規模によりますが、一級建築士、二級建築士もしくは木造建築士でなくては、工事監理者にはなれません。これは、工事監理が該当建築士の業務独占に該当するからです。
一方、工事管理者については原則必要となる資格はありません。ただし、国家資格である施工管理技士をはじめ、関連する資格自体は存在しています。工事管理を任せる際には、こうした資格を有するスタッフが在籍しているかなどにも目を向けてみましょう。
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工事監理者と管理者の違いについてはご理解いただけたでしょうか?ポイントとなるのは、それぞれがどちらの立場に立って現場のチェックを行っているかです。そのため、建築主にとって工事監理者は大きな役割を持つでしょう。
もちろん、現場スタッフにとっても、品質管理におけて適切なアドバイスをくれる工事監理者の存在は大切です。本来的には、工事監理者も管理者も建築主を満足させるのがミッション。お互いが協力できるような建設現場であることが、結果よい仕事につながると言えるでしょう。
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