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施工体制台帳とは
施工現場では、多くの企業が協力して作業を遂行します。
その際に元請企業は、安全かつ計画的に工事を遂行するため、それぞれの企業が担当する工事内容・責任者・各企業間の関係などを確実に把握することが必要です。
これらを一つにまとめるのが、安全書類である「施工体制台帳」です。
ここでは、施工体制台帳とはなにか、作成義務や作成しなければならない工事について詳しく解説します。
施工体制図についても合わせて解説しますので、最後までご覧ください。
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1.作成する義務がある!
施工体制台帳とは、下請・孫請などの工事施工を請け負う全ての業者名・各業者の施工範囲・各業者の技術者氏名などを記載した台帳のことを指します。
「建設業法などの一部分を改正する法律」(以下、法)により、平成27年4月1日から公共工事について発注者から直接請け負った公共工事を施工するため、下請契約を締結する場合には施工体制台帳の作成が義務化されました。
法改正以前は、下請金額総額が3,000万円(建築一式工事の場合4,500万円)以上の場合にのみ、施工体制台帳の作成・発注者への提出が義務付けられていました。
しかし、この改正により、下請金額にかかわらず施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に企業から提出することが義務化されたのです。
施工体制台帳の作成の義務化は、品質・工程など施工上のトラブル・建設業違反の防止・建設工事の確保を目的としています。
2.施工体制台帳を作成しないといけない工事とは
施工体制台帳の作成を行わなければならない工事は以下の通りです。
- 発注者から直接、建設工事を請け負った特定建設業者が当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,000万円(建築一式工事6,000万円)以上となる場合
- 公共工事発注者から平成27年4月1日以降に直接建設工事を請け負った建設業者が当該工事に関して下請契約を締結した場合
ここでいう公共工事発注者とは「公共工事の入札および契約の適正化促進に関する法律に規定する法人」です。
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、上記2つのパターンに該当した時点で、下請負企業から提出された再下請負通知書などに基づき、施工体制台帳を整備します。
これは、建設工事を適正に施工するためのものであり、民間工事では発注者から請求があった場合に施工体制台帳を発注者の閲覧に供しなければなりません(法第24条の7第3項)。
また、公共工事では作成した施工体制台帳の写しを発注者へ提出する必要があります(公共工事入札契約適正化法第15条第1項)。
3.施工体制図の作成も義務
施工体制図とは、作成された施工体制台帳に基づき、各下請負人の施工分担関係がひと目で分かるようにした図のことを指します。
施工体制図を見ることで、工事に携わる企業の関係者全員が工事における施工分担関係を把握することが可能です。
施工体制図についても、施工体制台帳と同様に作成・掲示義務があります。
第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならないとされているのです(建設業法第24条の7第4項)。
上記のように、建設業法に定められているため、工事現場には施工体制図が提示されます。
見やすい場所ということから、仮囲いのいずれかの場所に提示されることが通常です。
4.まとめ
今回は、施工体制台帳について詳しく解説しました。
施工体制台帳を作成しなければいけないケースは以下の通りです。
- 発注者から直接、建設工事を請け負った特定建設業者が当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,000万円(建築一式工事6,000万円)以上となる場合
- 公共工事発注者から平成27年4月1日以降に直接建設工事を請け負った建設業者が当該工事に関して下請契約を締結した場合
元請企業が上記2つのパターンで工事を行う場合、施工体制台帳の作成・提出だけではなく、施工体制図の作成・提示も義務付けられています。
安心・安全な作業を保証する重要な書類ですので、遅滞なく作成・提出するよう注意が必要です。
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