公開日
更新日
令和3年3月改訂!公共工事設計労務単価の改訂内容についてわかりやすく解説
この記事では公共工事設計労務単価とはそもそも何か、どのように決定しているのか、そして公共工事設計労務単価を決めるのに必要な、令和2年度の公共事業労務費調査の概要や令和3年3月の改訂で変わった内容に関して解説します。
建設業向けクラウド型勤怠管理システムはこちら!
1.公共工事設計労務単価とは
公共工事設計労務単価とは、農林水産省・国土交通省が公共工事を発注する際に、工事費の積算のもとになる建設労働者の賃金単価のことです。
これは、次の4つにより成り立っています。
・所定労働時間8時間あたりの基本給相当額
・所定労働時間8時間あたりの基準内手当(家族手当や通勤手当など)
・所定労働日数1日あたりの臨時給与(ボーナスなど)
・所定労働日数1日あたりの実物給与(食事の提供など)
以上の内容は、10月に毎年行われる公共事業労務費調査の結果によって決まります。調査においては、公共工事の仕事をする建設労働者の賃金を、都道府県別・職種別に調べます。
令和3年3月に改訂される公共工事設定労務単価は、令和2年度の公共事業労務調査の結果に基づき決められたものです。
2.令和2年度の公共事業労務費調査の概要
令和2年度の公共工事労務費調査で対象となる工事は、農林水産省・国土交通省による直轄事業や補助事業などのうち、令和2年10月に施工した、1件1,000万円以上の工事から無作為に抽出された工事です。そのうち、有効な工事件数は10,131件でした。
どのように調査を行うのかというと、これらの公共工事の仕事をする51職種の建設労働者を対象として、まず賃金台帳をもとに請負業者が調査票を作成します。そして、調査票の記載内容を照合して確認し、賃金支払の実態がどうなっているか把握するという流れです。
令和2年度の公共事業労務費調査による、不備がない有効な調査人数は全職種で85,228人でした。有効な調査結果だけを所定労働時間8時間あたりに換算して、都道府県別・職種別にそれぞれ集計します。それによって令和3年3月以降の公共工事労務単価が決定します。
3.令和3年3月から変わった公共工事設計労務単価の改訂内容
令和2年度の公共事業労務費調査により決まった、令和3年3月から適用される公共工事設計労務単価は、前年度と比べて1.2%引き上げられています。
新型コロナウィルス感染症の影響に配慮した特別措置も取られており、前年度を下回った単価については、そのまま据置きとされました。
平成25年度の改訂で、法定福利費相当額を必要額アップするといった措置を行って以来、公共工事労務単価は9年連続のアップです。全国全職種加重平均値は20,409円となりました。
なお、公共工事設定労務単価には事業主で負担しなければならない法定福利費や労務管理費、安全管理費等の人件費は含まれていません。つまり、事業主が労働者をひとり雇うのに必要な経費は下記のようになります。
労働者ひとり雇うのに必要な経費=公共工事設定労務単価+事業主で負担する人件費(法定福利費+労務管理費等+安全管理費等)
下請代金にこれらの必要経費分を計上しなかったり、下請代金から必要経費分を差し引いたりするのは不当な行為です。
公共工事設定労務単価は上がり続けているのに、労働者に必ずしも妥当な金額が支払われていなかったという話もあります。それは公共工事設定労務単価に事業主で負担しなければならない必要経費分も含まれていると誤解され、建設労働者が受け取る賃金である公共工事設定労務単価から必要経費が値引かれていることが原因かもしれません。
4.まとめ
公共工事設計労務単価は、毎年10月に行われる公共事業労務費調査の結果により決まります。そこで、令和2年の公共事業労務費調査の概要と、令和3年3月に行なわれた公共工事設定労務単価の改訂をわかりやすく解説しました。前年度と比べて単価は1.2%引き上げられ、9年連続の上昇となっています。
【関連記事】
建設業の見積書における「法定福利費」の扱い
メルマガ登録
建設業界の業務効率化や
働き方改革に関するノウハウや
建設業界に関する情報をお送りします