建設業界の業務効率化や働き方改革に関する
ノウハウや情報などを紹介するニュースメディア

 
TOP  >  建設会計ラボ  >  建設会計・工事原価  > 工事進行基準とは

工事進行基準とは

工事進行基準とは
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

建設業は、そのほとんどが請負受注ということから、工事契約に関する収益認識基準にのっとって会計処理をします。
それは請負が完成義務をともなうことや工期が数年間にわたる大規模な工事があることなどが理由です。工事の規模によっては、目的物の完成までに数期を要することもあり、会計上、完成するまで売り上げが立たないことは財務諸表に影響を与えます。このことから、建設業には収益の認識基準が2つ存在します。

1.工事完成基準と工事進行基準の違い

工事契約に関する収益認識基準には、大きく分けて「工事完成基準」と「工事進行基準」の2つがあります。

工事完成基準

 

工事進行基準

「工事進行基準」とは、工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額、及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識する方法(工事会計基準6項3)

工事完成基準はその名の通り、目的物の引き渡しが完了した時点ですべての会計を確定させる方法です。恣意性が入り込まないというメリットがある一方で、企業の重要な経営指標のひとつである売上高(完成工事高)が工事の完了まで計上できないというデメリットが発生します。

そこで、長期間の工事には、完成を待たずに収益を認識する方法として「工事進行基準」が設けられています。工事の進捗にしたがって実態が把握できるというメリットがある一方で、実現主義が大原則の会計において、財務諸表を操作できてしまう「恣意性」をどうコントロールするかが重要な課題となります。

2.工事進行基準の対象工事

工事進行基準を適用する工事については、強制適用されるもの、任意に適用できるものの2種類があります。強制適用されるのは、法人税法において長期大規模工事と定めるものです。(会計は「信頼性をもって収益、原価、進捗の見積り」ができれば金額基準はありません)

長期大規模工事

  1. 工事の着手日から契約に定められている目的物の引渡し期日までの期間が1年以上であること(法人税法64条1項)
  2. 工事の請負対価の額が10億円以上であること(施行令129条1項)
  3. 工事の請負対価の額の1/2以上が工事の目的物の引渡期日から1年以上を経過する日後に支払われるものでないこと(施行令129条2項)

上記すべての要件を満たす場合は、法人税法上、工事進行基準の適用が求められます。会計上は、次の3つの要素をすべて満たした場合に適用し、この要件を満たさない場合は工事完成基準を適用します。

①工事収益総額の信頼性

工事収益総額の信頼性とは、工事の完成が確実に見込めることをさします。施工者に工事を完成させるための十分な能力があることや完成を妨げる環境要因が存在しないことに加え、対価の定め(金額、決済条件、決済方法が確定していること)が必要です。

②工事原価総額の信頼性

工事原価総額は、さまざまな状況の変化によってたびたび変動します。そのため、工事の各段階で工事原価の見積もりが詳細に積み上げられているなど、実際の発生原価と比較して適切な見積もりの見直しができる状態になっていることが必要です。工事原価総額の見積もりの見直しは、実行予算と実績原価を比較することで適時適切に行われなければならず、実行予算や工事原価の管理体制が整っていることが不可欠となります。

③決算日における工事進捗度の信頼性

いずれかひとつでも条件を満たさない場合には、工事進行基準を適用することはできず、工事完成基準を用いる必要があります。例えば追加工事が重なり、原価の信頼性が失われたと判断される場合などには工事完成基準で会計処理を行わなければなりません。

例えば、
実務上は11億円の工事を受注したが、会計は「成果の確実性が認められない、信頼性をもって見積もる事ができない」という場合、
●会 計→工事完成基準が採用される
●法人税→進行基準が強制適用される

法人税申告において進捗率の見積りに応じた調整が必要になりますが、法人税で調整できるのであれば、会計でも進捗の見積りができるのではという理解となり、結果として「法人税法において長期大規模工事」になるものは会計上も適用になっている=適用が認められているという解釈となります。

3.工事進捗度の計算方法

工事進行基準の適用においては、工事収益額と工事原価総額、決算日における工事進捗度という3つの要件の信頼性を合理的に見積る必要があります。工事進捗度の合理的な見積りを算出するための計算式は次のとおりです。

工事進捗度の算定(原価比例法)

工事進捗度の算定(原価比例法)

工事進捗度の基準になるのが原価で、決算日までに発生した原価を原価総額で割った値が工事進捗度となります。原価に計上するタイミングはそれぞれの企業によって異なる場合があり、購入による費用発生時や個別工事の完成など、どの時点で計上するかを決めておく必要があります。

工事完成基準と異なり、工事進行基準では工事収益の算定方法も計算式によって定められています。

当期の工事収益の算定

当期の工事収益の算定

見積もりの見直しによって工事収益総額が期の途中で変更になった場合など、変更後の収益総額と工事進捗度で当期の工事収益を求めると、上記の数式との結果に差が生じますので注意が必要です。

4.まとめ

工事進行基準は工事完成基準と異なり、工事原価総額の見積りが大きな影響を与えますので、見積りの確実性や精度の高さが大切になります。請負工事完成前に企業活動の成果を財務諸表で公開することができる、進捗に応じた管理会計が行えるなどのメリットがあります。

しかし、そのためには工事進行基準の適用条件を満たす必要があり、建設会社として工事を完了させるに足る能力があるか、工事進行において原価管理が緻密にできるかが問われます。工事進行基準を適用できるということは、つまり、会社にそれだけの体力があることを示す指標にもなっているといえるでしょう。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ガリバーシリーズ
メルマガ登録

おすすめ記事

気になるキーワード

アーカイブ

お問い合わせ
あさかわシステムズ
Facebook

CONTACT

 

建設業界に関する情報が満載

建設業界の業務効率化や働き方改革に関するノウハウや情報などを自動受信。

メルマガ登録フォーム

ご質問やお問い合わせはこちら

建設業界の業務効率化でお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ

お電話からのお問い合わせはこちら

東京
03-6812-8051
大阪
072-464-7831

受付時間 8:30~17:30
(土・日・祝日を除く)