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手形廃止が建設業に与える影響についてわかりやすく解説

「手形廃止」とは、長年利用されてきた約束手形による取引決済を段階的に廃止し、電子的手段や現金に代替していく取り組みを指します。
この記事では、建設業の手形廃止のメリットや電子記録債権(でんさい)の活用について解説します。
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建設業の手形廃止とは
建設業における「手形廃止」とは、長年利用されてきた約束手形による取引決済を段階的に廃止し、電子的手段や現金に代替していく取り組みを指します。
約束手形は、建設業界において資金調達や決済の手段として広く活用されてきましたが、支払サイトの長期化や中小企業への資金繰り圧迫といった問題を抱えていました。特に下請企業にとっては、工事代金を手形で受け取り、満期まで資金化できない状況が続くことが経営上の大きな負担となっていました。
こうした課題を背景に、政府は「手形の利用慣行を見直し、2026年をめどに建設業における手形支払を原則廃止する」という方針を打ち出しました。すでに国土交通省や金融庁を中心にガイドラインが整備され、ゼネコンを含む大手企業は下請企業との取引において手形を利用せず、振込や電子記録債権などの方法へ移行することが求められています。
建設業の手形廃止のメリット
手形の廃止は一見すると資金繰りへの影響が懸念されますが、実際には以下のようなメリットがあります。
資金決済の迅速化
手形の期日は通常3〜6か月先であるのに対し、振込や電子債権を活用すれば即時または短期での資金決済が可能です。これにより下請け企業のキャッシュフロー改善につながります。
業務効率化とコスト削減
手形発行に伴う印紙税や事務手続きが不要になり、経理部門の負担が軽減されます。電子化によりペーパーレス化も進み、業務効率が大幅に向上します。
取引の透明性向上
電子的な決済手段では取引履歴が明確に記録されるため、ガバナンス強化やコンプライアンス遵守の観点からも有利です。監査対応の際にもスムーズな情報開示が可能になります。
会計基準へのスムーズな適合
建設業界では「新リース会計基準」など、国際会計基準(IFRS)への対応が求められています。電子化された取引情報は会計システムと連携しやすく、基準適用に必要なデータ整備が進めやすくなります。
建設業の手形廃止に伴う電子記録債権(でんさい)の活用について
手形廃止に伴い、代替手段として注目されているのが電子記録債権(でんさい)です。でんさいとは、金融機関のシステムを通じて発行される電子的な債権で、紙の手形に代わる新しい決済手段です。
電子記録債権(でんさい)とは
電子記録債権(でんさい)とは、2008年に施行された「電子記録債権法」に基づいて創設された、紙の手形や売掛債権に代わる電子的に記録・流通する新しい債権のことです。
金融機関が運営する「でんさいネット」という仕組みを通じて発行・管理され、インターネット上で債権の発生・譲渡・消滅が行えるため、従来の手形や請求書のように紙を使う必要がありません。
最大の特徴は、債権の権利関係がすべて電子的に記録され、金融機関を介して安全に管理される点です。これにより、紙の手形に伴う「不渡り」「紛失」「印紙税負担」などといったリスクやコストを削減できます。また、債権の一部だけを譲渡できるなど柔軟性が高く、資金調達の手段としても有効に活用できます。
建設業においては、元請から下請、さらにその先の下請へと資金が流れていく多層的な取引構造が存在します。でんさいを利用することで、こうした資金の流れを電子的に一元管理でき、キャッシュフローの安定化・決済の効率化・取引の透明性向上といったメリットが期待できます。
まとめ
建設業界における手形廃止は、長年続いてきた慣行を見直し、より健全で効率的な取引環境を整える大きな転換点といえます。下請企業を中心に資金繰りへの影響を不安視する声もありますが、振込や電子記録債権(でんさい)といった新たな決済手段の普及は、キャッシュフロー改善や業務効率化、取引の透明性強化といったメリットをもたらします。
特にでんさいは、金融機関による安全な管理のもと、資金の流れを電子的に一元化できるため、建設業特有の多層的な取引構造に適した仕組みといえます。また、新リース会計基準をはじめとする国際基準への対応を進めるうえでも、電子化された取引データは有効に機能します。
今後、建設業の経理部門には、こうした制度改正をチャンスと捉え、自社の会計システムや業務フローを再構築していく姿勢が求められます。
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