公開日
更新日
建築業界が取り組むべきグリーン成長戦略の施策について解説
世界的に脱炭素社会への取り組みが活発化している中、日本においてもグリーン成長戦略が重要な施策として推進されていることをご存じでしょうか。
今回は、グリーン成長戦略の概要や背景を解説し、建設業界として取り組むべきグリーン成長戦略の施策についてご紹介します。
グリーン成長戦略とは
グリーン成長戦略とは、環境を保護しながら産業構造を変革させ、社会経済の成長を目指す国の政策です。そもそもグリーン成長という考え方は、再生可能エネルギーや省エネルギーとも呼ばれる「グリーンエネルギー」の導入、拡大によって経済成長の実現に働きかけることを指します。
世界各国で環境保全が叫ばれている中、グリーン成長は不可欠な要素であり、日本国内においてもますます活発化しているのです。
グリーン成長戦略が必要な背景
グリーン成長戦略が生まれた背景には、政府が2020年10月に掲げた「2050年カーボンニュートラル」が関係しています。カーボンニュートラルは、二酸化炭素やフロンガスなどを含む温室効果ガスの排出量を、2050年までに「実質ゼロ」にすることが目的。その宣言に伴う戦略として、2021年6月に「グリーン成長戦略」が発表されたのです。
また、グリーン成長戦略が必要な理由としては、以下のようなエネルギー問題の課題が関係しています。
・原子力エネルギーからグリーンエネルギーへの転換
・エネルギーの需給様式、および社会インフラの構築
・グリーンエネルギー技術の普及、および経済発展の両立
脱炭素社会の実現に向けて社会全体が動き出しているため、グリーン成長戦略を実行しながら上記の課題を解決することは、建設業界においても重要な取り組みと言えるでしょう。
建築業界が取り組むべきグリーン成長戦略の施策
ここからは、建設業界が取り組むべきグリーン成長戦略の施策について、4つのポイントをご紹介します。
エネルギーマネジメント
グリーン成長戦略の施策の一つとして、AIやIoT、ビッグデータを活用し、エネルギーを最適に管理することが重要です。その際、EV・蓄電池、太陽光発電などを使い、省電力化を推進する必要があります。
例えば、既存の住宅や建築物に対する省エネリフォームを行えば、太陽光パネルの普及活動にも貢献できるでしょう。
建築物の省エネ性能向上
建築物の省エネ性能の向上を目的として、ゼロエネルギー住宅・建築物(ZEH・ZEB)や、ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅を推進させることがポイントです。ゼロエネルギー住宅とは、グリーンエネルギーの創出を通じ、住宅で消費するエネルギー量を実質ゼロ以下にする住宅を指します。
一方、ライフサイクルカーボンマイナス住宅とは、建材の仕入れから廃棄における二酸化炭素の抑制、および再生可能エネルギーの活用によって、ライフサイクル全体の二酸化炭素の収支をマイナスにする住宅です。
このようなグリーンエネルギーを活用した住宅・建築物の普及が、建設業界において重要な取り組みと言えるでしょう。
木造建築物の普及
木造建築物には大気中の二酸化炭素を固定する機能が備わっているため、将来的に木造建築物をさらに普及させることも、グリーン成長戦略の一環として大切です。しかし、低層住宅の約8割が木造である一方、非住宅・中高層建築物では木造は1割もありません。
建築業界においては、木造建築物に関する技術の普及や人材育成、設計・施工技術の先進的な取り組みが不可欠です。
高性能の建材・設備
高性能の建材・設備の利用促進も、建築物の省エネ化には欠かせません。例えば、断熱サッシや省エネエアコン、太陽光発電は、新築だけでなく既存建築物に対しても実装が可能です。
しかし、高性能の建材・設備を導入するメリットが消費者に伝わりづらいほか、一般的な建材・設備に比べて高コストになりやすいなどの課題もあります。普及拡大に向けては、補助金制度の利用や、コストの見直しなどが必要となるでしょう。
まとめ
グリーン成長戦略は、カーボンニュートラルの実現に向けて重要な取り組みの一つです。従来型のエネルギーから、再生可能エネルギーや省エネルギーへの転換が加速している中、建設業界も一丸となって取り組まなければなりません。
具体的な施策としては、建築物の省エネ性能向上や高性能の建材・設備の普及などが挙げられます。自社として取り組み可能な施策を取り入れながら、グリーン成長戦略をうまく取り込んでいきましょう。
メルマガ登録
建設業界の業務効率化や
働き方改革に関するノウハウや
建設業界に関する情報をお送りします