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社労士が解説!職人不足時代に求められる働きやすい環境づくりと勤怠管理の役割
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建設業界では慢性的な人手不足が問題となっています。高齢化による退職者の増加に加え、若年層の志望者も減少しており、将来的な人材確保が課題となっています。この状況を改善するには、働きやすい環境を整備し、既存の従業員の定着率向上を目指す必要があります。その中で、適切な勤怠管理はこれらの課題を改善する上で重要な役割を果たすと考えます。
まず、建設業においては、工期や進捗状況の影響で長時間労働になりがちという点があります。ご存じのとおり、令和6年4月から建設業については、これまで猶予されてきた36協定の上限規制が適用開始となりました。会社としては、36協定を超える長時間労働にならないよう管理するために、各従業員の労働時間について適切に、そしてリアルタイムに管理できる仕組みが理想です。
そのためには、以下のような対策が考えられます。
・スマートフォンによる出退勤入力(位置情報も含めた記録)のシステム導入
・人事労務担当者だけでなく、工事の現場管理者等による勤怠情報の活用
・労働となる時間の適切な把握と運用(社用車での乗り合い移動時間など)
適切に記録された勤怠情報を活用することにより、長時間労働の防止や特定の従業員に負荷が偏っていないかなどについて、人事労務部門や現場管理者が把握でき、各従業員の健康確保、離職の防止につながるでしょう。
また、柔軟な勤務形態の検討も考えられます。現場ごとに勤務開始時間が異なる建設業では、画一的な勤務形態では対応しづらいケースがあります。勤怠管理システムを活用しながら、変形労働時間制や時差勤務等、各現場の多様な勤務ニーズに応じた柔軟な運用を実施することも効果があるでしょう。
これらは、Excelなどによる手作業での管理は非効率であり、現実的ではありません。
働きやすい職場環境づくりによる定着率の向上には様々なアプローチがありますが、長時間労働、誤った労働時間管理といったことが離職につながる大きな要因の一つであることは事実です。働きやすい職場環境づくりのために、勤怠管理の重要性を理解し、改善に取り組むべきでしょう。